|
|
|
| 日本映画(監督別) |
|
|
|
|
| 浪人街 監督: マキノ正博 1928-1929年 製作: マキノプロダクション(御室撮影所) [第一話 美しき獲物] [第二話 楽屋風呂解決篇] [第三話 憑かれた人々] ★★★ 弁士(佐々木亜希子)付きの上映会。 フィルムセンター所蔵の現存する部分のおそらくすべては、Talking Silents というシリーズの "Talking Silents 9 マキノ正博監督作品" としてDVD化されています。 第一話の物語はその後三度もリメイクされているから(『浪人街』1957)わかるのだが、現存する8分の断片に残された子恋の森の決闘は壮絶な活気にみちていて、やはりオリジナル版が最も優れていたのだと思わせる。 第二話、第三話は、浪人長屋を舞台にした、まったく別の話。
気弱でお人好しの浪人宮内甚内(根岸東一郎)が住む長屋所帯には、おせっかいで横暴な千馬平八(マキノ登六)が居候している。 彼らの隣には、お紋(松浦築枝)が老父倉橋九郎兵衛(荒木忍)と暮らしている。お紋に気のある平八は、九郎兵衛の留守を狙って彼女に言い寄るのだが、帰ってきた九郎兵衛から叩き出される。お紋はひそかに隣人の浪人白河三十郎(津村博)を慕っているようだ。 白河三十郎が最近、五十両の大金を手に入れたという話を聞き、甚内と平八はおこぼれをねだろうと躍起になっている。 お紋の弟重兵衛(岡村義夫)は、三浦家から伝家の名刀を盗み出して、お尋ね者の浪人となった身。お紋には三浦嘉左衛門(清浦新八)から、弟を助けるためだと言いくるめられ、貞操を奪われて一子をなした過去があった。 お紋の宅に乗り込んだ三浦は、女を責め立てて弟の居所を吐かせようとする。そこに現れた三十郎はお紋を助けようとして、三浦の用心棒となった友人の不破伝五左衛門(南光明)と刃を交わす。決着をつける気のない伝五左衛門の様子に、形勢不利と見た三浦は、その場を逃げ出していった。 *********************************************************************************
黙阿弥劇の続きのような古めかしい家宝探索の話に、公開時の大不況下の世相を反映させた、鬱屈した浪人たちのやるせない生態を織り込んだのは第一話と同じ趣向で、自暴自棄になった彼らが運命の糸にたぐられるように、クライマックスの大殺陣になだれこむという筋書きだったのではないかと想像できます。 第一話で「おのれ 裏切ったか!」という罵声を「馬鹿言え、表返ったのじゃ!」という名セリフで切り返す根岸東一郎の、まるで藤山寛美のようなじゃらじゃらした芸が面白い。 『浪人街』三部作の全体はもちろん、今では失われた同時期の『蹴合鶏』(1928)、『首の座』(1929)といった幻の作品を観たくてたまらなくなってしまう断片でした。
|