帰ってきた モニターの中の映画館

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ハワイの夜

監督: マキノ雅弘, 松林宗恵 

1953年

製作: 新東宝, 新生プロ
製作: 星野和平
原作: 今日出海
脚本: 松浦健郎, 佐野宏
撮影: 三村明
音楽: 鈴木静一
出演: 鶴田浩二, 岸恵子, 小杉勇, 水島道太郎, 三橋達也, 御園裕子, 水の江滝子, 瀧花久子, 江川宇禮雄


★★肉体関係 part2

鶴田浩二が起こした独立プロダクション、新生プロで早くから企画されていたのだが、製作上の都合から『弥太郎笠 前後篇』(1952)に先を譲って、翌年製作された作品。
製作当時、鶴田浩二の身辺に起こった岸恵子との恋愛問題やら、謎の失踪・自殺未遂事件やら、メジャー各社との軋轢やら、俳優ブローカー星野和平の暗躍やらの複雑な事情のデータは、紀伊國屋書店DVD「弥太郎笠 前後篇」付録の、木全公彦氏の文章で詳述されています。


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国際水泳大会の日本代表選手の一人としてハワイを訪れた鶴田浩二が、日系二世の娘、岸恵子と恋におちるのだけれど、日米開戦を前に、日本人とハワイ移民、二世の間には、複雑な感情が流れている。
鶴田の帰国後に太平洋戦争が勃発。
南方の前線で瀕死の状態に陥った鶴田は米軍PW(捕虜)として日本に搬送される途中、寄港したハワイで脱走。鶴田と岸は運命の再会を果たすのだが……。

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第二次大戦の歴史的悲劇を盛り込んだ、大仰なラブロマンスで、マキノ雅弘は日本でのセット撮影、松林宗恵はハワイでのロケ撮影を担当。
ロケ撮影部分に最新型の自動車が映り込んでいて、マキノが編集に苦心した、という一幕もあったようです。

鶴田が歌う主題歌「ハワイの夜」の大ヒットと、ゴシップ的な話題に助けられて、映画もかなりの興収をあげたらしいのだけれど、内容はほんとに他愛ない。
初めてハワイの土を踏んだ水泳選手の鶴田と小杉勇が、異国情緒に酔い、カルチャーギャップに驚く描写も通り一遍で、真珠湾攻撃の様子をニュースフィルムの流用で片付けた戦争の描写も、日系人の苦悩も、さほど深刻さを感じさせない。

鶴田の死をはかなんで、岸が尼僧になるなんて、貞女鏡みたいなストーリーはタテマエというもので、実際はスターのセックスを妄想させることが目的のキワモノ作品です。
ジーン河合という役名の岸にフラダンスを踊らせたり、浜辺に寝そべる恋人たちが(愛撫の代用表現として)手やスカートに砂をかけあったり、きらめく海のなかでシルエットになってもつれ合ったり、もうエロい、エロい。

マキノの手を離れたハワイでの鶴田と岸のやりたい放題のアツアツ演技を見て、マキノもすっかりやる気をなくしたんじゃないでしょうか。
日系二世役の水島道太郎の米軍軍服姿とか、本物よりも本物っぽい移民役の江川宇禮雄とか、珍しいものも見られました。


(2008/04/28 シネマヴェーラ渋谷「生誕百年 マキノ雅弘(3)」 2008/05/02記)


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