[PR]テレビ番組表
今夜の番組チェック

帰ってきた モニターの中の映画館

日本映画(監督別)>マキノ正博/マキノ雅弘>阿波おどり 鳴門の海賊

阿波おどり 鳴門の海賊

監督: マキノ雅弘 

1957年

製作: 東映(京都撮影所)
原作・脚本: 観世光太
撮影: 坪井誠
音楽: 鈴木静一
出演: 大友柳太朗, 藤田進, 徳大寺伸, 時田一男, 丘さとみ, 千原しのぶ, 永田靖, 沢村宗之助, 吉田義夫, 水野浩, 内海突破, 山内八郎, 星美智子, 赤木春恵, 清川荘司


★★★前作にかなわない

1941年公開の自作、『阿波の踊』のリメイク。
細部に改編があるものの、前作とほとんど同じ脚本が使われています。
主な配役は以下の通り。十郎兵衛役の清川荘司以外は、すべて一新されています。


帰って来た男 …… 大友柳太朗
髭先生 …… 藤田進
お市様 …… 千原しのぶ
お光 …… 丘さとみ
尺八先生 …… 徳大寺伸
道八旦那 …… 時田一男
目明し権蔵 …… 沢村宗之助
市野仁右ェ門 …… 水野浩
十郎兵衛 …… 清川荘司
おきよ …… 赤木春恵
おます …… 星美智子
広幡平左衛門 …… 永田靖
阿波屋徳兵衛 …… 尾上華丈
でこ廻し …… 内海突破, 山内八郎


まったく同じ話なのに、めざましい傑作である前作と比較すると、ほとんどの面で少しずつ魅力を減退させたリメイク作です。

脚本は、謎の三人の浪人者の言動や、十郎兵衛の弟の失踪時代の遍歴、十郎兵衛の弟の復讐を助ける地下組織の働き、宿の娘お光の言動、十郎兵衛の弟のお市様に対する心情といった、前作では観客の想像に任せられていた細部が補強され、キッチリと理屈づけられているのだけれど、それがおもしろくない。

丘さとみも悪くないし、千原しのぶも綺麗なのだが、前作で濃厚に漂っていた、神話的なムードがまったく失われている。
無骨な大友柳太朗が演じる十郎兵衛の弟は、すこしも「伝説の男」に思えないのです。
前作の神話的なイメージの演出に一役買っていた、美しい港町のロケを多用した風景が、すべて東映の定食的なセット撮影に移されているのも、興ざめの一因(徳島でロケ隊が「橋の幽霊」に出くわして、ロケ撮影を取りやめた事情が「映画渡世」で語られています)。
十郎兵衛の処刑シーンやら、十郎兵衛の弟の捕物場面やら、阿波踊りのモブシーンやら、ラストの仇討ち場面やら、アクションの数々が質量ともにパワーアップしているのも、作品の品格を下げただけのように思われます。
なによりも、前作で決定的にすばらしかった、ラスト近くの海賊船のシーンがない!

それでも、並の時代劇以上におもしろい作品であることは間違いありません。
丘さとみが、十郎兵衛の弟の遺した三度笠と合羽を着て、雨上がりの通りを歩くラストシーンは、前作にない優れた工夫として印象的でした。


(CS鑑賞 2008/06/14記)


< 目次に戻る

Google