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新 高校教師 ひと夏の思い出

監督: 城定秀夫 

2004年

脚本・編集: 城定秀夫
撮影: 飯岡聖英
音楽・効果: タルイタカヨシ
出演: 小沢菜穂, あんずさき, 春芭碇薫子, 吉岡睦雄, 畠山寛, 中村英児, 閔東旭, むかい誠一, 藤田浩, 柘植亮二, 野上正義


★★★★せつない名品です

教育実習生として郷里の高校に戻った女子大生、笑子(小沢菜穂)は、かつて憧れていた音楽教師、上村(吉岡睦雄)と再会する。生徒ではなく女として、上村と接することに戸惑いながらも、いつしか躰は彼を求めるのだった……。
……なんてありきたりな話が、なぜこんなにいいんだろうと思える作品。

主演の小沢菜穂と、音楽教師に思いを寄せてヒロインを敵視する、ちょっと不良な女子高生を演じる あんずさき が、サバサバしていてとっても気持ちいいです。
これ以上ないほど単純なボーイ・ミーツ・ガール的設定にからむ、ヒロインのおばやら男子・女子生徒たちやらの細かいエピソードが、よくもここまでと思うほど入念に書き込まれているので、たいした事件は起こらなくても、退屈する暇がない。
胸が痛くなるせつなさと、すっとぼけたコミックシーンと、気のきいた暗喩(そして、いつもの音楽と動物と)が絶妙にからみあう展開を見ていると、いつのまにか、いかにも城定監督の世界にどっぷり浸っています。

冷房のない、うだるような暑さの部屋で、ヒロインと音楽教師がついに結ばれる……という場面の、じりじりたっぷりと気を揉ませる、濃厚なエロス感覚がすごい。
濃厚なからみの末に、ヒロインが後悔の涙を流す不倫の恋なんですが、後味はとても爽やか。

しばしば挿入される印象的なイメージは、かつてヒロインが盗んだ教師のハーモニカ(切ない追想)→音楽教師が修理をする扇風機(恋の再燃)→もつれ合う二人とともに再び故障して、機械音を立てる扇風機(欲情の暴走)→グランドで跳ね続けて、やがて勢いを失うサッカーボール(不倫の現実と純愛の喪失)と、次々にヒロインの心情を代弁するのですが、常に変わらない歌の楽しさが、彼女を回復に向かわせる。
ずっと自転車の練習をしていた あんずさき が、恋敵のヒロインとの和解を経て、独りで自転車をこぎ始めるというサブストーリーで、いくぶん単調な比喩の連続を破ってみせる配慮も心憎い。

ビデオ撮影であることを忘れさせる、飯岡聖英の映像も美しい、絶品の青春映画。
居眠りばっかりしている野上正義が、またいい。

劇中で何度も歌われる、♪ハイハイデフライエイライ、という歌、あれはなんという曲なんでしょうか、耳について離れません。

(DVD鑑賞 2008/03/24記)


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