★★★☆
映画的香気、とでもいいますか
74分、二話構成のOV。
[第一話 葉子の場合 真昼の快楽]
夫(武田勝義)との性生活にちょっぴり不満を持っている主婦(夏目今日子)が、喫茶店で出会ったレディスコミックの作家(篠原さゆり)から、いつまでも綺麗でいられる秘訣はセックスをたくさんすることだと聞いて、テレクラに電話をかける……という話。
これ以上ないほど紋切り型で、意外なことは何一つ起こらないのだけれど、細かい技法でしっかりと見せる。
買い物先でふと自分の年齢を感じたり、ためらいのなかで喫茶店での出来事を回想したり、夫との愛をもう一度再確認したり、といった、なんでもないシーンがとにかくうまい。
夫婦の寝室に置かれた、首振り型の赤外線暖房機の照明効果までがすばらしい。
……でも、これだけの話なの? と思ったら……。
[第二話 ユミの場合 快楽という名のネタ]
喫茶店での出来事に時間は遡ります。
ちょっとだけ『パルプ・フィクション』といいますか、独りFULLMOTION(『ギネスの女房』参照)といいますか、時空のクロスした設定で、今度はレディスコミックの作家が主人公なんです。
担当編集者(中村英児)を奴隷の如く酷使する、女王様気質の彼女の彼女の日常を、第一話とは対照的に、リズミカルなテンポで見せる。
いっけん優雅な漫画家の荒んだ日常と、じつは担当編集者が第一話の××だった、というオチもあって、おもしろさが加速します。
しかもこの女性向けエロコミックの漫画家、自分で経験しないと筆が進まないというタイプで、職業意識を絡めた発情っぷりがなんともコミカル。
終盤。とんでもない瞬間が訪れる。
仲直りをした漫画家と編集者が、マンションの部屋に入り、もつれ合いながら廊下で衣服を脱ぎ捨ててソファに倒れ込み、全裸で絡みあって果てるまでが、およそ4分30秒のワンショットで撮影されて、男女の奔放な動作と歓喜に満ちた顔が画面にあふれるんです。
"
ヌーヴェルヴァーグ!" と叫んでしまいそうな、香気ただようショットに、自分がエロOVを見ていることをすっかり忘れてしまいました。
こんな、見るからにショボい企画もののエロOVで、あっけにとられる "映画的興奮" に不意を突かれてしまうと、人はもう、城定中毒になってしまうしかないのです。
(DVD鑑賞 2008/06/02記)