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江戸女刑罰史 〜緊縛妖艶遊女〜

監督: 城定秀夫 

2007年

脚本・編集: 城定秀夫
撮影: 田宮健彦
劇判作曲: タルイタカヨシ
出演: 亜沙美, 吉岡睦雄, 佐々木渚沙, なかみつせいじ, みずと良, 須加尾由二, いとうたかお, もろいくや, 佐藤仙學


★★ちょっと無謀でしたか

最近のVシネの時代劇ということで、セットはもちろんのこと、考証やらロケ地やら美術やら衣装やら小道具やらにはまったく期待しないつもりで観たんですが、この作品、なんと結髪まで省略されている。これにはびっくりしました。

頭巾で隠したり、総髪にしたり、ごまかしてはいるのだけれど、やっぱりマゲがないと時代劇には見えません。主要人物二、三人の髪をさわるくらいの、十数万円だか数十万円だかも出せないんなんですね。
時代劇は約束事の世界なので、約束を破るにしても、破るための約束が必要なのですが、それさえ確保できない状況は、あまりにもむごい。

贋作を描いて師匠に破門された若い絵師(吉岡睦雄)が、河原で春を売る唖の夜鷹(亜沙美)と出会い、彼女と同棲しながら責め画を描いて、それが大ヒット。
やがてその噂は城主にも届き、女は城に監禁されて責め苛まれる。
絵師は女を取り戻すため、火薬を体に巻いて城に向かうのだが……というお話。

いつもの城定作品の、手慣れた世界で戯れるおもしろさが失われて、少ない予算で時代劇っぽさを出すためにストーリーやロケ地を選んだ不自由さが透けて見える、窮屈な作品になっています。
現代劇だと楽しく感じられる、既存作品からのアイデアの援用――田中登(豪雨の縁側での絵師とモデルのからみ)、神代辰巳(ボイスオーバーで流れる祭文のような絵師の独吟)、若松孝二(爆弾を腹に巻いたテロ行為)――も、ただペタペタと切り貼りされたようで、力がない。

もちろん俳優の演技にも、同じことがいえるわけで、美術や衣装のお膳立てがなければ、いくら熱演しても越えられない壁があるのが悲しい。
低予算で無理な部分は、たとえば無駄なペダンティズムで乗り切るみたいな、飛び道具がほしかったな、と思います。ガイラ監督方式で。

ただし、よかったのは役者の顔で、主演の吉岡睦雄と亜沙美から、無声映画時代の日本人の顔を引き出している。
吉岡睦雄はフィルムセンターで見た戦前の剣劇スターみたいな顔立ちだなとあらためて思ったし、亜沙美は、むかし「ヴァンプ女優」と呼ばれた女優たちを彷彿させる。
メイキング映像を見ると、ごく普通の女の子なんですが、そんな彼女を口をきけない設定にして、印象的な顔のクロースアップを多用したのは大成功だと思いました。

(DVD鑑賞 2008/03/24記)


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