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網走番外地

監督: 石井輝男

1965年


★★★☆次も必ず観たくなる

この映画の主題歌は、子供の頃に健さんが歌うドーナツ盤をさんざん聴いて、歌詞を覚えたものだった。今回、シリーズ第一作を見てみると、家にあったレコードのもの(馬鹿を馬鹿を承知の……、というやつ)は本作には使われていない *1。エピソードの節目を歌でつなぐというのは、やくざが弾き語りでこの歌を歌うのをテレビで見た監督が思いついたのだというが、胸躍るおもしろさだ。チンピラっぽい健さんも、今のひたすら寡黙なイメージに慣れてしまった目で見ると、なかなか衝撃的でいい。

女の出ない映画に金は出せないということで、白黒になってしまったらしいのだが、そこを逆手にとった雪中逃亡は、実録っぽい緊張感に満ちている。公開当時は荒唐無稽だという批判もあったらしいけれど、この時代の刑務所の様子に想像が及ばなくなった現在の目で見ると、逆にリアリズムを感じたりもする(そういうのが、古びない映画の価値というものなんだろう)。
ストーリーのほうは、ヒットしたらシリーズ化するよ、というのが暗黙の前提になっていたのか、橘(高倉健)の生い立ちに時間が割かれて、本領発揮はこれから、という印象もあって地味目である。しかしよく見ると、新東宝のアクション映画で磨いた技法が、目立たぬようにちりばめられているのがわかっておもしろい。

保護監察役の丹波哲朗がブチ切れて、本来の悪人ヅラが燃え上がる。怖い。そいつが、猟銃握って、トロッコに乗って、猛スピードで追いかけてくる。いやあ、なにをされるんだかわかんない怖さ。ところが最後にホロリ、とさせて、後味を引く。
嵐寛寿郎の八人斬りの鬼寅親分も痛快。シリーズ初作に、こういう強力なキャラクターを出しておくところがさすがで、続編にまたアラカンが出ると聞けば、絶対に見たくなる。

*1 最初に映画挿入歌として使われたタカオカンベによる替歌は、きす(酒)、すけ(女)などのやくざ言葉が含まれていて、やくざの生き方を肯定するおそれがあるとして、放送禁止の憂き目にあったのだそうで、そのために急遽、歌詞が差し替えられたのだろう。森達也著「放送禁止歌」(光文社刊)参照。


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