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超能力者 未知への旅人

監督: 佐藤純彌 

1994年

企画: 岡田裕介
脚本: 早坂暁
撮影: 浜田毅
音楽: 長谷部徹
音楽プロデューサー: 石川光
テーマ曲: タカツカヒカル & TRY…U「光は闇の中に」
出演: 三浦友和, 原田美枝子, 長谷川初範, 安永亜衣, 下条アトム, 北村総一朗, 本田博太郎, 丹波哲郎, 石橋蓮司, 岩崎加根子, 大滝秀治, フランキー堺, タカツカヒカル


★★★東スポ的楽しさ

映画の後半、三浦友和演じる高塚光氏が政府の要人の治療をするというシチュエーションを迎えたとき、突如として頭のなかに、深々と椅子に腰掛けたその要人が大滝秀治だったというイメージが湧いたのだけれど、実際にその通りの画面が現れたっていうのは、やっぱり超能力が促進されたせいなのかな、と。
え、違いますか。

高塚光のことが東映で映画化されたのは、彼が元社員であった東急エイジェンシーが東京急行電鉄の系列会社であり、同社が東映の設立に関わっていたからではないかと推測されます。
その東急エイジェンシーの社内で話題になった時期に、知人から高塚光の噂は聞いていたと思うんですが、その後のマスコミの大騒ぎの末に新聞に掲載されたこの映画の広告を見た頃には、とっくに興味が失せていました。
公開時に観に行くほどの興味があった人、というのは、報道を通じて映画のなかで起こる程度のことは、既に知っていたんじゃないかな。

つまり本作は、観客が既に知っていることを、どれだけ扇動的に描くか、という、「東スポ」精神の映画なのであって、今見ても面白いのは、その「東スポ」的に演出された部分なのです。
既に週刊誌で報道されたおなじみの事件を、長谷川初範、下条アトム、丹波哲郎、石橋蓮司、大滝秀治、フランキー堺といった俳優たちが入れ替わり立ち替わり現れて、ここぞとばかりにはしゃいだ演技を見せたり。
超能力騒動の渦中にある高塚光のドラマを演じる三浦友和と、高塚光本人がときおり入れ替わって、超能力の科学的検証や中国の気功研究所訪問など、現在進行形の活動が挿入されたり。
あるいは映画の終盤で、高塚光自身が客席に向かって手かざしをして気を送る場面が延々と続いたり(これは新聞広告で大々的に予告されていた)。

ことにフランキー堺が、高塚が務める広告代理店の得意先のなんとか電鉄の会長役から、突然「地」に戻って、俳優のフランキー堺ですと自己紹介した上で、自身が体験した高塚光の「治療」を絶賛し、もう一仕事やる元気が出てきたと画面に向かって語るメタフィクション的な趣向は圧巻です。
そうなると、あの『写楽 Sharaku』(1995)は、高塚光のおかげで完成したってことになるわけか……なーんてね。

あの手この手の趣向で目くらましをかました結果、主人公は「もう迷わない」と自分の決意を妻(原田美枝子)に告げるのだけれど、それが何だったのかがうやむやにされて、彼の存在が地球規模のアセンションでも起こしかねない予感のうちに幕を閉じるのが、この映画のニクいところ。
じつのところは、タカツカヒカルという芸名のもとで収益活動に前向きになるというのが、その決意の中身であって、今も本人は細々とこういう活動を続けている、ってことにすぎないんですけど。

身も蓋もないことを描いて儲けた時代のことも、商売を前にすればなんのそので、東映という会社の、なんでもありな時流のつかみ方は、それなりに冴えていたとしかいいようがありません。
そして、翌年には、松本サリン事件が起こるわけです。 (DVD鑑賞 2007/10/14記)

(2007/9/20 シネマヴェーラ渋谷「妄執、異形の人々II」)


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