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妖女伝説 '88

監督: 田中登 

1988年

製作: にっかつ
配給: シネ・ロッポニカ
脚本: 佐治乾
撮影: 大岡新一
音楽: 渡辺俊幸
出演: 沖直美, 斉藤隆治, 黒木永子, 米山善吉, 高瀬春奈, 中丸新将, 芦川よしみ


★★★がっかりする最終作

ロマンポルノ終焉の年の最後の悪あがきになった一般映画路線、「ロッポニカ」作品。田中登、最後の劇場公開作品でもあります。


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ゲームソフト開発に取り組む天才プログラマー、赤木(斉藤隆治)のパソコンにアクセスした謎の美女(沖直美)。彼女は死んでなお、肉体を求めてネット上をさまよう幽霊だった。やがて双子の妹に乗り移って実体化した彼女は、夜な夜な赤木を誘惑する。彼女の正体を追う赤木は、彼女のミステリアスな過去に突き当たるのだった……。

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パソコンの画面に登場する幽霊という企画は、当時は目新しかったのでしょうが、個人のパソコンでは画像の受信すら困難という初期のネット環境を舞台に、苦心の跡ばかりがうかがわれる作品で、パソコンは未知の世界とつながるブラックボックスのように描かれ、霊体と交信すると、内側から光を発するなんていう恥ずかしい表現も、当時はこうするしかなかったのでしょう。
生前の女がパソコンに詳しかったというだけで、なぜその霊がネットに潜り込んだのかという理由もわからず、話そのものはほとんど「牡丹灯籠」です。

しかもこの映画、本編中に実名で登場するアスキー社から発売される予定だった「ダンジョン放浪記」なるファミコンのRPGソフトとタイアップしてるんですね。
マンションの一室で画期的なゲーム作りに取り組む、若い開発者たちの製作秘話みたいなものが、怪談話と平行して描かれるのだけれど、タイアップの宿命であるありきたりに終始して、ちっとも面白くない。おまけにこのゲームは、けっきょく発売中止になったらしい(参考記事)。

見どころといえば、宗教団体の巫女として生真面目に暮らす妹と、自由奔放な生き方をして、不可解な死を迎え、幽霊としてこの世に戻ってきた姉という、対照的な双子姉妹を演じ分ける、沖直美の変化(へんげ)ぶりでしょうか。
淫蕩な姉を嬉々として演じているように見える彼女を見る限り、「妖女伝説」という題名も嘘ではないし、前作『蕾の眺め』(1986)の聖女的なヒロイン像が、引き継がれている気もします。

幽霊が妹の体に乗り移る際には、鏡を必要とするという魅力的な設定もあるにはあるのだけれど、特撮(というか、映像トリック)に頼ったサスペンスは未消化で、けっきょくはゲーム開発のパートに精力を吸い取られてしまった印象です。
田中登はこの頃、テレビに活動の場を移していたわけで、演出力が落ちてしまった、というよりも、企画に合わせた無駄のない作品作りを行う体制にシフトしていたのでしょう。

これが最後の劇場公開作か、と思うと淋しい気もするのですが、まだまだ田中登には、2005年まで監督を続けていた、80本近くにおよぶテレビムービーがあります。
たまたま目にできた『横溝正史の鬼火』、『愛の報い』、『白い悪魔が忍びよる』といった作品が、「本編」に劣らない傑作揃いだっただけに、きっと知られざる傑作がいくつも眠っているはずなのです。乞ソフト化。


(ビデオ鑑賞 2009/6/6記)


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