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白く濡れた夏

監督: 加藤彰 

1979年

脚本: 金子成人
撮影: 安藤庄平
音楽: 乾裕樹
出演: 池波志乃, 長谷川明男, 南條弘二, 小川亜佐美, 石井雪江, 田中修, 高橋明


★★★たまらないタラタラぐあい

どうやらお盆の二本立て興行用に作られたらしい、97分のロマンポルノ「大作」。
顔そのものが放送禁止じゃないかといいたいほどにエロい、池波志乃様主演作で、彼女がときおり見せる、妖艶なサカナみたいな顔を目にするたびに、ストライク一発!やがな、とニヤけてしまうのだけれど、作品そのものは、それほどエロいわけではなく、当時の新感覚純文学作品みたいな感じでした。

奔放に生きるブルジョアのお嬢さん(池波志乃)が、運転中に人身事故を起こして、相手は死亡。
同乗していた不倫相手のカメラマン(長谷川明男)は、世間体を怖れて現場から逃げてしまう。
ヒロインは湘南の別荘に独り、引きこもって暮らしながら、関係を断ち切れない不倫相手への愛憎や、海辺で知り合った若者たちとの交流のなかで、ゆらゆら揺れ惑う、というお話。

こういうの、アリだと思いますよ。ユルいエピソードの連結で、けだるい日常を描いていく作品。
小説家志望だった加藤彰監督作品らしく、的確な演出で、それなりの格調を維持しています。
登場人物にもそれぞれに存在感があるし、ヒロインの吹っ切れないモヤモヤ感を描いた物語の、焦点がブレてるってわけでもないんだけど、どこかタルい。
上映時間70分ほどの通常作品向けの中身が、97分に水増しされただけの映画だと思えてしまうんです。

事故シーンのフラッシュバックとか、免許を剥奪されたヒロインが、スピード違反でパトカーを吹っ切るエピソードとか、鮮烈なラストシーンとか、いい場面が散りばめられているだけに、惜しい。
これで通常尺の加藤彰作品みたいな演出がなされていたら、けっこう名作になったんじゃないか。
しかし、このタラタラ具合が、当時ならではの味わいを醸していることは確かで、忘れられない夏の日々、っていうムードが、なぜか忘れがたい。

いや、でもね、それ以前に、「辛抱たまらん」という言葉がまさにふさわしいフェロモンムンムンの志乃様を使って、この浮遊感覚の文芸調はどうなのよ。
もっと切実なあんなことやら、そんなものやら、こんなになっちゃったのやら、見たいでしょうが……。

あ、高橋明が、なぜか若者に混じりたがる、珍しく小心で気のいいおっちゃんのコメディリリーフを好演していて、それもまた見どころです。

(ビデオ鑑賞 2008/03/23記)


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