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エロスの誘惑

監督: 藤田敏八 

1972年

脚本: 松田昭三
撮影: 山崎善弘
音楽: J. S. バッハ
美術: 川船夏夫
助監督: 長谷川和彦
出演: 中川梨絵, 川村真樹, 小松方正, 地井武男, 天坊準, 福地健太郎


★★☆慎ましい悪女

『八月はエロスの匂い』(1972)、『エロスの誘惑』(1972)、『エロスは甘き香り』(1973)と続く、いわゆるエロス三部作の1本なのだそうです。
ロマンポルノで中川梨絵が普通の事務員、普通の話し方だというのが、珍しく感じられる。

中川梨絵の勤め先のゴムホース倉庫(兼住居)での仕事が、見てるだけで理解できて、明日からでも自分もバイトできそうに思えてくる、そんな四畳半臭濃厚な映画です。
個人的に藤田敏八の映画が苦手なうえに、こういう閉鎖的雰囲気も苦手なので、少々辛かった。

梨絵さん演じる事務員は、社長(小松方正)の愛人で、そこにふらりとやってきた新しい作業員(地井武男)やら、学生アルバイトやら、梨絵さんに惚れてる中間管理職の男やらがからんで、最後に学生の青春のモヤモヤが小爆発、……みたいな話。

中川梨絵は、そんな市井の状況のなかにあって、やはり超然とした存在。
男たちの欲望を受け入れながらも、別の高い場所から冷めた目線で彼らを見下しています。
しかしなんだかわからないけれど、彼女が信じて貫こうとしているものが、現実を変えるわけではなく、突破口になるかもしれなかった地井武男や学生との関係に「挫折」して、現実に舞い戻ってしまう (ああ、藤田敏八だ)。

最後まで中川梨絵が毅然としているので、彼女の諦念さえ気高く見えるのだけれど、そこにふっと忍び寄る、一抹の未練……。

 (ビデオ鑑賞 2008/3/23記)


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