★★★☆
めくるめく中野貴雄的世界
AV女優ばかりが画面を占領した「プレイガール7
秘密の鐘が鳴る」と違い、今回は女の子たちに混じって、経験豊富な俳優たちが、わりと贅沢に配されているのが、まず嬉しい。
中野貴雄の作品を観るうえで、まったく期待していなかった芝居のおもしろさなんてものに直面してしまうと、ものすごく得をしてしまった気がしてしまうのだし、そのうえ四コママンガのVシネ化という企画が、小ネタを積み重ねるこの人の作風に合致して、息をもつかせぬおもしろさです。
出演者を書き写したものの、経験不足ゆえ、顔と名前の一致に自信を持てない人がいるのが悔しい(特典映像で紹介してほしい)のだけれど、コメディ演技が安定した男優陣は、中野貴雄がその本質をつかんだ岩谷テンホーのギャグを、確実にヒットさせる芸達者揃い。
芸熱心なヒロイン格の みゆ (清水大敬が演じるチョビ髭おやじの次女と、婦人警官(のちにブラック・マン*)の二役で、国立大学卒の帰国子女IQ女優なんだそうです)
や、おかしな雰囲気があるくノ一役の宝月ひかるもいいし、ベテランの吉行由美と、「ハレンチ・ファミリー 寝ワザで一発」で有名な絹田良美(ぶーやん)が脇をシメるのもたまりません。
ロケ地も盛りだくさんだし、衣装もそれなりに揃えているし、音楽も著作権使用料が必要らしきものを多用しているし、小道具もありものばかりでなくて、ちゃんと作っているし、監督手作りのCGは、たぶん過去最高の出来だし、と、中野貴雄的には超大作の様相を呈しております。
原作でおなじみのキャラクターが登場する、場所や時代の異なったエピソードが少しずつリンクしながら、リレー形式で同時進行していくのだけれど、「仮面の忍者
赤影」のオープニングをパクった連続時代劇「忍風アケビ 外伝」だとか、「原サチコ(ファンです)自身が操るカエルのぬいぐるみが彼女とSEXしようとするのが毎回の見せ場」だったという「さちこの幸」のアイディアを流用したバター犬のエピソードだとか、カンボジア秘宝展会場から盗まれた黄金のバナナなんていう、毎度お馴染みすぎる設定だとか、それらがこの監督の、ちょっとした集大成になっているのも愉快。
さらに、それらの間を縫って挿入される、「みこすり半」とはなんの関係もない「キル・ビル」のパロディ=「チク・ビル」のストーリー・ラインに、各エピソードの枝葉が流れ込み、登場人物たちが集結して大団円を築き上げるのが、思わず不意を突かれてしまう力業なのだけれど、その仕掛けを成り立たせるためのきめ細かいフォローには、いつにも増して念が入っている。
伏線を張りまくってお腹いっぱいの状態で迎えたクライマックスの対決で、リューシー・オリュウ(間宮結)がブラック・マン*と出会うなり、「貴様は朝宮さやか。初対面だけどな」なんて律儀に断って、プロットの穴を埋めるのを聞いたときは、フルコースのデザートに酢豚が出てきたかのような思いがしたのだった。
それにしても「チク・ビル」のすばらしさ。
オリジナルのツボを完璧に突いたパロディとしても見事なうえに、「キル・ビル」に限らず、元ネタ探しという浅ましい行為に観客を走らせるハリウッド流イベント映画の本質は、楽屋オチと大差ないのだという真実を、ちゃんと言ってのけているのだから。
さて、中野貴雄初(?)の原作ものにして、なんとキャットファイト・シーンのない作品、になるのかと思いきや、終盤には、素敵なトラック(ビキニ)スーツ姿のブラック・マン*と、制服姿のGOGO25(高橋美季)とのくんずほずれつが、ちゃんと用意されているので、安心するように。
予告編あり http://www.tmc-ov.co.jp/oscar/008/index.html。