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青空 連続する欲望と殺意 (果てしない欲情 もえさせて!)

監督: サトウトシキ

2000年


★★★★☆巨匠の風格

「芸術的」「文芸的」な表現に接近した、最右翼的作品、なのかもしれない。
ある部分は昔のATG映画に、ある部分は青山真治のような人の映画に似ているのだが、連想されるそれらをあっさり凌駕しかねない、べらぼうなうまさである。

なりゆきでレイプしてしまった女、横浜ゆき(現在は「ゆき」)と主人公(向井新悟)が、次の場面ではもう恋人になっている。その間のいきさつを、二人がアパートの部屋まで笑いながら駆けていく、たった一つのショットで語り尽くしてしまう。
警察の手入れを食らって、裸足のまま夜の道を延々と走り続ける主人公が、ペタペタとアスファルトを踏みしめる音の凄さ。65分の映画に、こんなに豊かで長大なシークエンスがあっていいものだろうかと、唖然とする。その直後、主人公が就職した町工場の機械を、ヌーッとなめていく移動なんか、巨匠の風格を感じさせる。
工場の社長夫婦(下元史朗、伊藤清美)が熟練の演技。荒れた裏庭の椅子に腰を沈めた伊藤が、主人公をサディスティックにあしらいながら、自ら脚を開く場面には、まいった、としかいえない。

向井新悟の棒読みのナレーションで物語は進むのだが、その棒読みと素人演技が、見ていると作品そのものを成立させているのだと思えるほどの、説得力を帯びてくる。こういう成功も、一度きりであれば、たまたまうまくハマったのだろうと思うのだが、作品ごとに手を変え品を変えの連戦連勝なのだから、サトウ=小林コンビはすごい。
横浜ゆきは、「団地妻 不倫でラブラブ」からは想像できなかったほどの魅力的なヒロインぶり。なぜ彼女が主人公を裏切ったのか、という部分を、納得させる一押しがないのは残念。

幻想かもしれない「青空」を探し続ける男の話なんだよね−−「青空」サトウトシキ監督インタビュー


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