★★★
女侠映画のひそかな復活
ストリーミング配信サイト、ハニーWave での視聴を試してみた。
1番組1週間見放題 315円(税込)ということ以外、画質に関する情報が掲載されていないし、サンプルもない。しかたなく現物を購入してみると、256k bps
の Real Player 配信で、旅客機のシートの背中に付いている液晶画面で見ているような感じ。お話の流れがわかる、という程度で、とても映画を観ている気がしない。Webで映画を観るのだったら、最低でも
2M bps は必要だ。
シリアスな事件を扱った、シンプルきわまりない構成だが、サトウ作品常連の本多菊雄がノンシャランなムードを醸しだしているので、次作の「青空」のように、息詰まるような緊張感はない。小林政広の脚本は、いつにも増して意図的に平板な展開で、それを画の力でふくらませて見せるサトウトシキ作品の、とくにその傾向が強いと思われる本作を、こういった環境で観たのは大きな間違いだった。
人物が、バストショットくらいになると、やりたいことがわかるのだが、引きの場面では、かろうじて出来事がわかるという程度。したがって、ロングショットでとらえられたクライマックスには、まったく興をそがれてしまった。
しかし、それでも強烈な存在感を見せつける、葉月蛍という女優はすごい。
冒頭、いつもの無表情のスタスタ歩きだけで、なにか決意と覚悟のようなものをすっかり表現してしまうのだし、たどり着いた旅館の前の自動販売機で買った缶飲料をゴクリと飲む、一瞬の表情の凄さといったらない。
鼻づまり声の、無表情で抑揚のないせりふ回しと、からみを含むアクション場面の激しい動きとのギャップも独特だし、劇中のカラオケ・スナックで歌う、二曲のオリジナルソングのへたくそな歌声さえも、やみつきになるようなせつなさを秘めている。
独り町を去っていく葉月の姿に、カラオケで歌った演歌がかぶさるラストシーンは、藤純子の「女渡世人」のような、旅から旅への女侠ものを意識しているのだろう。あらかじめ貯えこんだ過去のジャンルのテイストを、ずっと押さえ続けて最後にちらりと匂わせるっていうのは、かなりの高等技術だと思われる。
また観直してみたいけど、とりあえず星三つ。