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女性操縦法(女性操縦法「グッドバイより」)

監督: 島耕二 

1949年

製作: 新東宝
配給: 東宝
原作: 大宰治
脚本: 小國英雄
撮影: 三村明
音楽: 鈴木静一
出演: 高峰秀子, 森雅之, 若原雅夫, 江川宇礼雄, 斎藤達雄, 霧立のぼる, 藤間紫, 清川虹子, 三村秀子, 一の宮あつ子, 清川玉枝


★★★★小國英雄の天才

新東宝設立(1947)直後の、東宝配給時代の作品。

『女性操縦法』というのは、『グッドバイ』の題名で1949年に公開された作品の短縮版再公開時のタイトルなのだそうで、jmdbではオリジナルが99分、本作は69分だから30分もカットされているのか。
なんてすばらしい脚本なんだろうと圧倒されて、元の『グッドバイ』を観たくてたまらなくなるのだけれどフィルムは残っていないようで、全編を知るにはオリジナルのシナリオが収録された「男の花道―小國英雄シナリオ集」を手に入れるしかないみたい。


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[ネタバレあらすじ]
雑誌編集長の森雅之は、名うてのプレイボーイ。
社長の江川宇礼雄から、会社の金主(斎藤達雄)の令嬢が彼を見そめて結婚したがっていると聞かされ、これは出世のチャンスだと女性関係の精算をはじめる。
会社に出入りしていた担ぎ屋の田舎娘(高峰秀子)を妻だと偽って、結婚を約束した四人の女たち(霧立のぼる、藤間紫、清川虹子、三村秀子)に紹介し、グッドバイを言い渡すというのが彼の作戦。
女たちは、盛装した高峰秀子の美しさにたじたじになって身をひくのだが、森雅之は作戦のために雇った高峰秀子に惚れてしまう。
ところが、高峰秀子はなんと、金主の令嬢と同一人物。高峰は森に弄ばれた親友の三村秀子の恨みを晴らすために、田舎娘になりすまして森を罠にかけていたのだった。
真相を知って呆然とした森は、三村秀子と復縁する。親友の愛情復活を目の当たりにした高峰は、自分自身の恋も取り戻そうと、いったん別れた恋人の若原雅夫のもとに走るのだった。

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どうみても投げやりで印象に残らない太宰治の絶筆「グッドバイ」の設定だけを借りた、ほとんど小國英雄のオリジナル脚本作だといっていい作品で、どれも面白い小國作品のなかでも、最もユニークで完成度の高い一本なのではないかと、ぎこちないところのある短縮版を観てすら思います。

いざ、上であらすじを書いてみると拍子抜けするくらいに単純な話なのに、「高峰と三村の計略」に包まれた「森雅之のグッドバイ作戦」のさなかに「高峰と森の恋愛(?)」が語られて、それらがさらに「高峰秀子と恋人」の枠のなかにあるという構成は複雑なパズルのようで、それだけでも面白い各々のピースがキッチリと嵌め込まれて完全な全体を作る、こんな快感を味わえるストーリーは、ハリウッドの名画にもめったにないんじゃないかな。

省略のせいなのか、高峰秀子の行動の根拠がよくわからない部分もあるけれど、キャラクターがしっかりしているのでわからないなりに納得させられるし、ぼやぼやしていると筋が読めなくなってしまう省略が、逆に斬新なスピード感を生み出している気もします。

口先三寸のプレイボーイを演じる森雅之の軟調ぶりもいいけれど、薄汚れた田舎娘が絶世の美女に化けてしまう(事実はその逆なのだが)デコちゃんの変身は、映画史上屈指のシンデレラ化け。清川虹子との対決場面で、美女の外見でだらしない田舎娘のキャラを演じる倒錯が、また凄まじい。

完全に参りました、の一本でした。


(2009/6/5 シネマヴェーラ渋谷「シナリオライター小國英雄のすべて」 2009/6/6記)


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