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六人の女を殺した男

監督: 島耕二 

1965年

製作: 大映(東京撮影所)
脚本: 小国英雄
撮影: 小原譲治
音楽: 大森盛太郎
出演: フランキー堺, 船越英二, 岸田今日子, 万里昌代, 藤村志保, 明星雅子, 久保菜穂子, 春川ますみ


★★★悪女の祭典

天才肌の売れっ子ながら、金銭に無頓着で女に弱い画家(フランキー堺)が主人公。
黙っていても女が群がるモテモテの彼なのだけれど、近づく女は彼の財産を狙ったり才能を利用したりの性悪ばかり。
――放蕩主婦・万里昌代、バーのマダム・藤村志保、温泉宿の娘・明星雅子(あけぼしまさこ)、看護婦・春川ますみ、ファッションデザイナー・久保菜穂子、女中・岸田今日子。

最初のうちは逆上した悪女たちが勝手に死んでいくのだけれど、度重なる女の裏切りに鬱憤を溜め込んだフランキー堺は、しだいに積極的に相手の死を望むようになって、ついには本物の殺人者になってしまうという、男性の夢をペシミスティックに裏返して見せたスラップスティックコメディです。

ヒステリックな万里昌代、計算ずくの色仕掛けを仕掛ける藤村志保、あっけらかんとした処女性で男を振り回す明星雅子、女の出世欲に取り憑かれた久保菜穂子、母性的かつ淫乱な春川ますみ、寡黙を通して自分の出番をうかがう岸田今日子と、天真爛漫な芸術家の前に現れる美女たちが、次から次に個性的な悪女っぷりを披露する趣向だけでも楽しめるし、女たちのキャラクターが女優それぞれの裏イメージそのもので、ほんとに華やかな世界の裏側を覗いているみたいな気になってしまいます。

鮮やかなワイド・カラー画面に、60年代のポップ感覚を取り入れた映像も楽しいし、フランキー堺の描く抽象画も、いかにも売れそうな本物っぽい出来映え。
主人公の友人の傍観者役で登場する船越英二がピアニストだというのは、役柄としてはリアリズムがないけれど、シニカルなドラマに華を添えている。

だから文句のない傑作かというと、役者の芝居を面白く見せることは成功しているけど、それ以上があまり感じられない気もします。
思った通り、悪女に翻弄される挿話の繰り返しに、退屈した部分もありました。
最後に「どうです、身につまされる話でしょ?」という流れに持っていくのは、脚本家の痛切な心情吐露を含んでいる気がして、演出しだいではもっと男女の愚かさを痛切にえぐった、可笑しいけど身の毛のよだつ映画になったんじゃないかな、とも思えるのです。


(2009/6/10 シネマヴェーラ渋谷「シナリオライター小國英雄のすべて」 2009/6/11記)


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