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ハリウッド映画>SF>アルマゲドン

アルマゲドン
Armageddon

監督: マイケル・ベイ Michael Bay

1998年

製作: Michael Bay, Jerry Bruckheimer, Gale Anne Hurd
原案: Jonathan Hensleigh, Robert Roy Pool
脚本: Jonathan Hensleigh, J.J. Abrams
撮影: John Schwartzman
SFX: Pat McClung
音楽: Trevor Rabin
美術: Michael White
出演: Bruce Willis, Billy Bob Thornton, Liv Tyler, Ben Affleck, Will Patton, Steve Buscemi, Peter Stormare, Owen Wilson, Keith David, Chris Ellis, Jason lsaacs


★★★ピーター・ストーメア賛江

以前、飛行機の液晶画面で後半だけを観て、見せ場優先のご都合主義があまりにも連続するので、くだらない映画だと思ったのだが、あらためて全編を観てみると、前半がとくによくできた映画だった。
世間からはゴロツキだと思われかねない男たちにスポットが当たると、いつしか彼らは地球の運命をになう檜舞台に立っていたのだった、という話がおもしろくないわけはないのだし、もちろんそういった話を盛り上げるには、地球の危機の信憑性や、男たちの知られざる有能ぶりや、彼らが選ばれる必然性とそこに至るまでの物語のテンポのよさが必要なのだけれど、その点もかなりソツがない。
設定上、怪優っぽい役者たちが続々と登場して暴れまわる、というのも愉快で、とくにスティーブ・ブシェミの悪のり演技が堪能できる大作映画、なんて、嬉しい限りです。
しかしさすがに後半のアクシデントの連続には鼻白んでしまう。もう少しリアリズムを重視して、バカ映画のそしりを避ける努力をしても、娯楽性は損なわれなかったのではと思うのだけど。

さて、なぜこの映画を観たのかといえば、ピーター・ストーメアの演技が見たかったからです。
劇中で少々イカレたロシア人宇宙飛行士を演じているこの人はスウェーデン人で、こういったユーモラスな役柄も、彼の幅広い芸域の一つに過ぎない。しかもヴァーサタイルな脇役映画俳優としてのほかに、偉大な演劇人としての顔を持っていて、ペーター・ストルマーレという母国語の呼び名で来日し、日本の演劇界にも画期的な業績を残している。

1953年、スウェーデン生まれ。ベルイマン率いるスウェーデン王立劇場の看板俳優・演出家として11年間在籍。ハリウッド・デビューは「レナードの朝」(1990)(フィルモグラフィ)。現在は日本人の妻とともにロサンゼルス在住、らしい。
1988年に来日し、東京グローブ座のオープニングフェスティバルでベルイマン演出「ハムレット」のタイトルロールを演じている (これは観ていません)。

1992年9月には東京グローブ座で、演出・翻訳・美術・出演をこなした「令嬢ジュリー」を上演。
また彼が、夢の遊民社、花組芝居、JACなど、さまざまな出自の役者たちの混成チームからなるグローブ座カンパニーを演出した「夏の夜の夢」(1992年6月初演)、「ハムレット」(1992年11月)、「間違いの喜劇」(1994年3-4月)は、いずれも衝撃的な名舞台で、ぼくはあまりのおもしろさに、「夏の夜の夢」だけでも(再演、再々演を含めて)6回、他の作品も2回以上観ている。

無国籍的なファッションと、強烈な笑いに彩られた「夏の夜の夢」では、原作を解体し、劇中劇を中心に据えた小宇宙を作り上げていた。所属の劇団ごとに訓練を受けた、発声法や身体表現の異なる役者たちをどうまとめるかという日本の劇団の課題を、逆にその違いをぶつけることで一気に解決したのがストルマーレだった。
経血でスカートを真っ赤に染めたオフィーリアなど、残忍なイメージに充ちた「ハムレット」は、三重円環状の舞台に、ハムレットの意識、無意識、遺伝子のレベルが視覚化され、ラストはデスメタルをバックに登場したフォーティンブラス一派が、生き残った登場人物すべてを金属バットで撲殺するという過激な解釈で、これは現在まで見てきた(噂に聞いてきた)なかでも、最も強烈な「ハムレット」だった。
「間違いの喜劇」に至っては、舞台に据えられたラッパ型のスピーカーから物語がアナウンスされ、役者たちは延々と、原作にないギャグ・コントを繰り返すというアナーキーぶり。ここまで徹底的に解体された(しかも知的に)シェークスピアの舞台は、その後も目にしたことがない。

こういった果敢な試みが断ち切られたのは、バブルの崩壊によって企業からの援助が断ち切られたためかもしれないのだが、もしストルマーレがハリウッドに拠点を移さず、日本で仕事を続けていたら、日本の演劇界(もしかしたら映画界)が大きく変わる起爆剤になったかも、なんて夢想も許されるこの破天荒な才人の、脇役ではない代表作を観てみたいと思う。


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