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帰ってきた モニターの中の映画館

ハリウッド映画>ギャング映画と50年代までのフィルム・ノワール>歩道の終わる所

歩道の終わる所
Where the Sidewalk Ends

監督: オットー・プレミンジャー Otto Preminger 

1950年

製作: Otto Preminger
原作: William L. Stuart
脚本: Ben Hecht
撮影: Joseph LaShelle
音楽: Cyril J. Mockridge
出演: Dana Andrews, Gene Tierney, Gary Merrill, Bert Freed, Tom Tully, Karl Malden, Ruth Donnelly, Craig Stevens


★★★☆みごとな犯罪心理劇

タイトルクレジットで、おおっと声が漏れる。
歩道の敷石に書かれた主要キャスト名とタイトルを、カメラが移動してとらえていく(といっても一コマ移動するだけなのだけれど)――これって田中登の『マル秘女郎責め地獄』方式じゃないですか。
バジェットに追われた映画人は、洋の東西を問わず、同じ発想にたどり着いてしまう、ってことなのでしょうか。

ノワール・ボックス収録の他の二作(『キッスで殺せ』『ビッグ・コンボ』)に比べると、ごく平均的なフィルム・ノワール的意匠しか与えられていない本作は、なによりもストーリーと演技の映画。
脚本はハリウッドの伝説的な才人、ベン・ヘクトです。

主人公の刑事(ディナ・アンドリュース)は、ギャングの子として生まれた、という負い目への反発から、悪人への暴力を辞さない『その男、凶暴につき』的なヴァイオレンス・コップとして活躍しているんですが、ある日、ふとした成り行きから、犯罪者の一味だと思われる男を死に至らしめてしまう。
彼はとっさに、自分の罪の隠蔽工作に走るのだけれど、殺した男の妻(ジーン・ティアニー)を愛してしまい、苦悩する。
それだけでも胸苦しいのに、殺人の容疑が、愛する女の父親にふりかかってしまって……。

犯罪隠蔽のサスペンスが強烈な前半から、七転八倒の苦悶を刑事がどう切り抜けるのか、熱いドラマが繰り広げられる後半への転換がみごと。
しかも、これほどいやらしい敵役はいないんじゃないかと思うギャングのボス(ゲイリー・メリル)や、ジーン・ティアニーという絶世の美女のヒロインの愛すべき役柄、そしてオットー・プレミンジャーの確固たる演技指導が、ドラマの振り幅を最大限に増幅して、我を忘れずにはいられないおもしろさです。

どうしてこんな重厚なドラマが、小気味よくパキパキと進行するんでしょうかね、この時代の映画って。 (DVD鑑賞 2007/9/4記)


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