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ハリウッド映画>ミュージカル・音楽>錨を上げて

錨を上げて
Anchors Aweigh

監督: ジョージ・シドニー George Sidney

1945年

製作: Joe Pasternak
原作: Natalie Marcin
脚本: Isobel Lennart
撮影: Robert Planck, Charles P. Boyle
音楽: Georgie Stoll
作詞: Sammy Cahn
作曲: Jule Styne
美術: Henri Jaffa, Cedric Gibbons, Randall Duell
出演: Gene Kelly, Frank Sinatra, Kathryn Grayson, Jose Iturbi, Pamela Britton, Dean Stockwell


★★★★やんちゃで楽しい

四日間の休暇をもらった二人の水兵(ジーン・ケリー、フランク・シナトラ)が、それぞれの理想のパートナーを見つけるまでの話。
ボーイ・ミーツ・ガールのじつに単純な話が139分もの長尺に引き延ばされているのは、もちろん歌や踊りや音楽の見せ場が大量に挿入されるからで、そのどれもが充実している。いや、ケリーもシナトラも若くて、歌やダンスは円熟に至っていないのだけれど、後年のほどんど押しつけがましく思えるほどのうまさを誇示することになるそれらが、ここではいくぶんの恥じらいをおびて、しかしはつらつとしたエネルギーを込めて、爽快に発散されている。
監督にしても、キャリアの初期に大作級の製作費と前途有望なスターたちを得て、アニメと実写との合成や奇抜な撮影方法、ショーアップされたコンサートやハリウッドの撮影の裏側まで見せるサービス精神など、やりたいことをやり尽くしている気持ちのよさ。

こんな明朗快活な海軍の兵隊や、純情可憐な女優志願の娘が存在するはずがないというのは、作る側にしても、観る側にしても了解済みなのだけれど、彼らが演じる夢物語が、最小限のカット割りによる音楽やダンスの芸の力によって、嫌みのない説得力を持つのを見ているのは、じつに幸福である。
しかもその夢物語のなかでさらに夢物語――ジーン・ケリーの代表的なダンスシーンとして有名な、「トムとジェリー」のジェリーとのダンスや、お姫様に扮したヒロイン(キャスリン・グレイソン)が佇む城の窓辺へと城壁を駆け抜けるアクロバット――が展開していくのも破格のおもしろさで、ハリウッド流イベント映画の、もっとも充実した一面を見る楽しさがある。

ミュージカル映画については、こういう有名作を初めて観る、というほど知らないし、とくに好きだというわけでもないこのジャンルを、ちょっぴり倒錯的な気持ちで観ているのだけれど、隆盛を極めたジャンルの最高潮の作品には、やはり文句なしに感動させられます。

それにしても劇中でさまざまな演奏を披露する、当時の人気音楽家、指揮者・ピアニストのホセ・イタルビ(=イトゥルビ)や、ベルカント唱法を聞かせるキャスリン・グレイソンの、アメリカナイズされた、芸術的なニュアンスに欠ける演奏も、こういった映画の雰囲気にぴったりしている。
シナトラとカップルになる女給を演じた、パメラ・ブリットンという、ちょっと奇矯な感じの女優もよくて、この人は「都会の牙」(1950)のヒロインなんだな。


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