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悪魔の棲む家
The Amityville Horror

監督: スチュアート・ローゼンバーグ Stuart Rosenberg

1979年

製作総指揮: Samuel Z. Arkoff
原作: Jay Anson
脚本: Sandor Stern
撮影: Fred J. Koenekamp
音楽: Lalo Schifrin
出演: James Brolin, Margot Kidder, Rod Steiger, Don Stroud, Murray Hamilton, Natasha Ryan, Eddie Barth


★★★オカルト映画の作り方

呪われた家が住む人に取り憑いて殺人を命じるという、「実話を忠実に映画化」したらしい作品。
「忠実に映画化」するあまり、話の展開はまだるっこいのだが、そのぶん、独特のリアリズムが感じられておもしろい。

オカルト映画とはいっても、血はそんなに出ない。なにしろ最大の流血が、子供が窓に指を挟まれて血がにじんでしまう場面だという、きわめて地味な作品です。
たとえばその指詰め事件が起こったとき、父親は会社の同僚と裏庭のボートハウスに向かっているところだったのだけれど、そこに同僚がいることも、彼らがボートハウスの近くにいることも、作劇的にはなんの必然性もない。その日の晩のベッドで夫婦が「そういえば骨が折れなかったのが不思議だ」と、いかにも気味が悪そうに話し合うのだけれど、それにもなんの意味もない。
そういえば、あのとき私はあそこに誰々といて……、なんていう、関係者の証言が聞こえてきそうな、けれども無駄の多い作りが、なんとなく奇妙な後味を残す。

平凡な家族を次々と襲う怪奇現象の数々、という趣向で、正面から見れば人の顔のように見える屋敷の奇妙な造作も、ラロ・シフリンのイタリアン・ホラーのような音楽も人外の力の存在を暗示するかのようなのだけれど、あらためて考えてみれば、映画のなかの現実では、たいしたことが起こっているわけではない。
揺れるシャンデリア、吹き込む冷風、開かなくなるドア、勝手に動く揺り椅子、紛失する現金500ドル、窓から覗く不審者、不審な行動をする飼い犬、大量発生するハエ、トイレから吹き出す汚水、訪問者の不快と嘔吐――なんて事件の数々を列挙してみると、呪われているというよりも、たんに建て付けが悪くて、衛生設備が不十分だから悪臭が漂って、おまけに周囲の風紀も悪い、という家のようである。

こんなことを悪霊の仕業だと決めつけて、周辺で起こった無関係かもしれない出来事(聖職関係者の拒絶や不幸)やら子供のひとり遊びやらを強引に関連づけながら、最大限に気味の悪い演出をする、というのは、たちのよくない遅刻の言い訳みたいなものなのだけれど、実際に住宅ローンが払えずに困った家族が、悪霊に罪をなすりつけたのが、「アミティヴィルの恐怖」の真実だった、という裏話(こちらのブログを参照)があるようで、それだったらこんな一家惨殺があった気味の悪い家に、なぜこの家族が頑張って住み続けたのか、という不可解の理由も納得できる。

しかし、嘘をほんとうのように語った話を、さらに別の誰かがほんとうだと思って語り直せば、それは真贋とは別次元の物語として一人歩きしてしまうわけで、なんでもないことなのかもしれない話を、映画なりに語り直してジャンル映画に参戦させてしまったしまった本作は、「オカルト映画」的なムードはこうして作るのだ、という見本になりえているのだし、それを堅実に成し遂げた演出も、その意味では立派なものに思える。


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