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アッシャー家の惨劇 監督: ロジャー・コーマン 1960年
★★★ 封入のブックレットに掲載されたSF・ホラー評論家・石田一による、じつにツボを心得た解説を読むと、本作の製作費は27万ドル。AIPが通常製作していたエクスプロイテーション・フィルムの倍の予算がかけられた豪華版だという。当時の1ドル360円の固定為替レートで計算すると9720万円なのだから、(正確なことは知らないが)日本映画だったら超大作*だ。 製作費の大部分は、アッシャー邸の製作費と、ヴィンセント・プライスへのギャラに注ぎ込まれているようなのだが、これがじつにすばらしい。 あらゆる努力を注ぎ込んだのだと思われる、邸内のゴージャスな内装や調度品は、いかにもアメリカ在住の田舎貴族が贅を尽くしたという感じで、伝統や教養とは無縁の印象。 ストーリー上の主人公である青年、マーク・ダモンの退屈な演技や、薄倖のヒロイン役のマーマ・ファーイという女優の絵葉書的な美しさなど、どこを切ってもポー原作の文芸作品といったイメージからはほど遠い。 兄に殺されかけて気がふれたヒロインが、パワフルな怪物と化してしまうクライマックスは、意外と怖い。 *「任侠映画列伝」(講談社刊)には、俊藤浩滋が、オーストラリア・ロケの任侠ウエスタン「荒野の渡世人」(1968)の企画を持ち込んだ際、予算が「七千万か七千五百万」だと聞いて、大川博東映社長が「チミ、冗談じゃない」と驚いたエピソードが載っている。「当時、通常の製作費は一本三千万円から四千万円だった」。
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