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イン・ザ・ベッドルーム 監督: トッド・フィールド Todd Field 2001年 製作: Graham Leader, Ross Katz, Todd Field ★★★★ マリサ・トメイがらみで観た。 [以下ネタバレ] 息子を失った夫婦の深い悲しみを描く、というヒューマンドラマが真の主題ではなく、良識ある初老の男性が、いかにして殺人を犯すに至ったかという犯罪物語を、演じる側にとっても、見る側にとっても、ぎりぎりの忍耐が試される平板な描写を重ねることで、さりげない日常から突出する暴力の意味と是非を問うことに着地する作品であることが、最後の最後にわかるという仕掛なのだった。しかもその「平板な描写」の部分が、じつに長い時間、まるで主題であるかのようにしか見えないのは、かなり底意地が悪い。 映画(とくにハリウッド映画)には、ジャンルに依存しながら発展した歴史があり、ジャンルそれぞれの守るべき約束事というものが了解されているわけで、また各ジャンル間にも相性があり、SFのように思えてじつはミステリーだった、というケースであればまったく問題がないのだが、本作のように、ヒューマンドラマのように思えてじつは犯罪映画だった、というケースは、限りなくルール違反に近い気がする。 殺人を終えて帰宅した夫に、「やってきたの?」と、夫の「計画」を知らないはずの妻が問う最後のシークエンスにおいて、映画は決定的にノワールな雰囲気を漂わせるのだけれど、ベッドに横たわった夫が指に巻かれたバンドエイドをはがして、(痴情殺人のメタファーとして幾度か漁の場面が挿入されていた)エビに挿まれた傷が癒えたことを確認するラストショットによって、それまで見てきたものが一気に意味を変えてしまうのだから、なんたる周到な構成だろうか。 小林政広が書く脚本にも、同様の意図的なルール違反を感じることがあるのだし、もう一つ思い出したのは「忘れられぬ人々」(2000)という、おなじくルール違反寸前の仕掛けを施した問題作のことなのだけれど、完全に破綻を繕いきれていないそれとは違って、ここまで見事に延々とシラを切り通し続け、しかもそれを完璧にやり通した本作は、見事というしかない (ジャンル詐称映画、なんて括りで、該当する作品を集めてみると、興味深い発見ができそうである)。 1964年生まれのトッド・フィールドは、「アイズ・ワイド・シャット」(1999)で主人公に秘密のパーティの存在を知らせるピアニストを演じていた役者で、本作が監督デビュー作らしい。
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