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アメリカン・プレジデント

監督: ロブ・ライナー

1995年


★★★★困った内容だが大傑作

自由社会の指導者たる資質を持つものは、スキャンダルや中傷に対してもけっしてオタオタせず断固たる態度を取るものだという、合衆国大統領万歳映画なのだが、困ったことにとても出来のいい映画。

あくまでもリアルに描く大統領の恋愛という、難しいテーマを克服するためにロブ・ライナーが選んだのは、揺るぎないハリウッド・クラシックのテクニックによるストイックな演出だ。ほとんど遊びのない演出なのに笑えてしまう余裕があるほど、役者がみんなすばらしい。
絶対的な安定感を見せる大統領役、マイケル・ダグラスを、補佐官のマーティン・シーン、主席内政顧問のマイケル・J・フォックスが文句のつけようがない存在感でサポートしているうえに、対立候補のリチャード・ドレイファス、大統領の恋人役のアネット・ベニングも最高にいい。
加えて(ホワイトハウスの現物を見たことがあるわけでもないのだが)、ここで使われたホワイトハウスのセットのすばらしさは、「デーヴ」を観て感心した同じ場所のセットが、薄っぺらに思えるほどのリアルさだ。

もちろん「リアル」というのは、ここで描かれた大統領像やホワイトハウスが現実そのものというのではなくて、米国民が抱く理想像にリアルということで、もしも現実のビル・クリントン元大統領のスキャンダルを同じようにカメラに収められたとしたら、さぞかしアンチ・リアルな映画ができあがるだろうし、現実のホワイトハウスをロケに使っても、これが本物なのかと疑うような薄汚れた映像ができあがるだろう。
理想のリアル感を支えているのは、たとえばマーティン・シーンの腹芸とでもいえるようなたたずまいや、政敵の弱みをかぎつけたドレイファスが、眉一つ動かさない品の良さである。
そして、目がしょぼしょぼしたショートヘアのアネット・ベニングが見せる、魅力的な理想のヒロイン像。見るからに庶民的な彼女をことさら庶民的に描いて、そのギャップで笑いを取るなんていうおちゃらけは、一つもない。


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