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いとこのビニー 監督: ジョナサン・リン Jonathan Lynn 1992年 製作: Dale Launer, Paul Schiff ★★★★ [ネタバレ反転] まったく知らなかったこの監督は、音声解説を聞いてみるとイギリスの舞台出身のようで、66年には「屋根の上のヴァイオリン弾き」に出演していたのだそうだ。それを知れば、なるほど本作の人種や階級問題を含めた米国文化に対する繊細な感受性が理解できるし、物語の半分近くを占める法廷場面の出来がいい理由も納得できる。パッと見は地味な本作なのだけれど、よく見ると単調になりがちな法廷のセット撮影が、二度と同じショットを繰り返さないというくらいに、手を変え品を変え、入念なカメラワークで仕上げられていたりして、かなり見応えのある作りになっている。 しかし一番の収穫は、ペシの婚約者役のマリサ・トメイで、本作での彼女は、じつにすばらしい。 法廷ものとしての本作は、「十二人の怒れる男」(1957)のような名作をちゃかしてしまうようなところから出発して、なおかつオーソドックスな逆転勝利の感動を目指しているわけで、結局はなぜ [ 最後の瞬間にペシが、超絶的な自動車オタクであるマリサ・トメイと同じレベルの発見をしてしまえるのか ] という疑問を説明抜きにしたズルい結末を迎えてしまうのだが、それを許させてしまうのがマリサ・トメイの強烈なキャラクターであって、彼女は主人公だけではなく、作品そのものも救っているのだといえる。 その他、厳格な判事を演じた、アメリカのテレビでは、怪物役者として名が売れているのだそうなフレッド・グウィンだとか、強烈などもりの演技を披露する法定弁護人を演じた、監督とはイギリスの舞台での盟友だったらしいオースティン・ペンドルトンとか、検察官を演じた、遣り手の政治家ふうのレーン・スミスだとか、それぞれがオーバー・アクティングのようでありながら、よく見ると堅実な演技に終始していて、むしろ周囲のリアクションで笑いを取っている渋さと品のよさが、見ていてとても心地よい。 音声解説ではあまり饒舌ではない監督の話も、ダッチアングル(傾斜フレーム)やステディ・カムの使い方だとか、ヒッチコックが言う「冷蔵庫のミルク症候群」(観客が、帰宅後にミルクを飲みながら、ようやく作品の論理的な矛盾に気がつく、視覚効果優先のハッタリ)の話だとか、なかなかタメになるものだった。
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