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ヨーロッパ映画>その他のヨーロッパ映画>エル・ゾンビ IV 呪われた死霊海岸(V. テラービーチ/髑髏軍団美女虐殺)

エル・ゾンビ IV 呪われた死霊海岸 (ビデオ題: テラービーチ/髑髏軍団美女虐殺)
La Noche de las gaviotas

監督: アマンド・デ・オッソリオ Amando de Ossorio 

1975年

脚本: Amando de Ossorio
製作: Modesto Pérez Redondo
撮影: Francisco Sánchez
音楽: Antón García Abril
出演: Julie James, Victor Petit, María Kosty, Sandra Mozarowsky


★★★まったりアート系

デビット・リーンが晩年に撮った『ライアンの娘』は、アイルランドの荒涼とした僻地に村そのものをオープンセットで作ってしまった超大作なんですが、あれを観ると、ああいうおあつらえの村を見つけて、そこでロケをすれば、低予算でも似たようなものができるのではないかと、誰もが夢想するわけです。
で、本作は、まさにそんな夢を実現させたかのような映画なんですね。

テンプル騎士団の死霊が七年ごとに甦って、七人の処女の生け贄を要求する村に赴任した医師の夫婦が、因習を打ち破ってゾンビと戦う、という話。
海岸沿いの小さな家に主人公が暮らしているところも、知恵遅れの男が狂言回しになり、不寛容な村人たちが、黒服をまとった群衆として描かれるのも、『ライアンの娘』そっくりです。

ホラー映画としてのネタが尽きてしまったのか、前作までに頻出したこけおどしの恐怖シーンも息をひそめて、すっかり枯淡の境地を感じさせます。甦った騎士たちが馬に乗って駆けてくる場面は、第一、二作でさんざん見てきただけに、もはや怖くもなんともない。
しかし、遠い岬にある廃修道院から海岸づたいに、スローモーションで迫ってくる軍勢のビジュアル的な美しさはシリーズ中傑出している。ボロ布を纏ったゾンビたちが、荒涼とした自然の風景の一部になりきって、アーティスティックな風格さえも感じさせるんです。

なんだかホラーの探求に飽きて、持ち前の美意識だけで映画を撮れればいいという、諦めが感じられる作品なのだけれど、それが逆にアート系の匂いを漂わせているわけです。
たとえば、クロード・シャブロルあたりのジャンル映画もOKな監督が、たまたまゾンビものを撮る羽目になって、デビット・リーンを下敷きに、ヒッチコックへのオマージュを込めつつ、低予算の早撮りで作品を仕上げたら、こんなものが出来上がるのではないか。

そう考えると、あっさりとしたあっけない結末も、ジャンルへの未練を感じさせない潔さを感じさせて、好ましくさえ思えてきます。

I=異境的な伝統ホラー、II=ハリウッド流スペクタクル志向、III=低予算ホラーの神髄、IV=ヨーロッパ・アート系、と、多面的な面白さを堪能できる、予想以上にすばらしいDVD-BOXでした。 (DVD鑑賞 2007/9/12記)


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