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エル・ゾンビ III 死霊船大虐殺
El Buque maldito

監督: アマンド・デ・オッソリオ Amando de Ossorio 

1974年

製作: J.L. Bermudez de Castro
脚本: Amando de Ossorio
撮影: Raúl Artigot
音楽: Antón García Abril
出演: Maria Perschy, Jack Taylor, Bárbara Rey, Carlos Lemos, Manuel de Blas, Blanca Estrada


★★★トホホな低予算

自主映画以下の貧相な模型の船を使った特撮に、いったいどこまで貧乏になるんだと、不安を感じさせる第三作。
ファシスト政権下でこういうシリーズを撮り続けた苦労は、付録ディスク収録のドキュメンタリーからもうかがえるんですが、それにしても主要登場人物は、わずか7名。主な舞台になる幽霊船のセットも、半分しか組まれなかったそうで、東宝の『マタンゴ』なんかが超大作に思えてしまいます。これに付けた邦題が『死霊船大虐殺』とは……。

それでもけっして企画を「投げて」いないのは、モデルクラブの女所長がボートメーカーの社長と結託して、モデルと女優の漂流事件をでっち上げ、スキャンダルに乗じて女優と製品の宣伝をしようというたくらみに、テンプル騎士団の棺を乗せた、呪われた幽霊船をぶつけるという、プロットの意外性からもうかがわれて、作品はあくまでも意欲的です。
観る側にはわかりきった状況に足を踏み入れていく、腹黒い人々の動揺を、底意地の悪い笑いとともに見物できるみたいな映画。

それにしても第一作からヤキモキさせられたのは、ゾンビに襲われた人間がいつも金縛り状態になったり、足を怪我したり、逃げ場のない場所に自ら逃げ込んだりして、まるでやられるのを待っているかのようなでくの坊になってしまうことで、(これはこのシリーズに限ったことではなく、他のユーロトラッシュ作品にも共通した特徴なんですが)最初から逃げ場のない船上を舞台にした本作では、さらにその傾向が助長される。
幽霊船が出没する「異次元」に突入すると、霧が立ちこめて周囲が暗くなり、猛烈な眠気に襲われるという、作り手にとって非常に都合のいい設定になっていて、暗闇のなかにセットのアラは隠され、ゾンビに襲われない人は、みんな眠りこけてるんです。

それでも、クライマックスに至って、生き残った人々の本格的な攻防戦が始まると、あっと驚くゾンビ撃退の強行作戦に溜飲の下がる思いがします。さらには『恐怖の足音』をネタにしたかのような、強烈なビジュアルを伴うラストシーンが用意されている。
低予算映画を観尽くしたマニアを、大喜びさせるタイプの作品です。 (DVD鑑賞 2007/9/12記)


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