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| ヨーロッパ映画 |
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| エル・ゾンビ
I 死霊騎士団の覚醒 (ビデオ題; エルゾンビ/落武者のえじき) 監督: アマンド・デ・オッソリオ Amando de Ossorio 1971年 脚本: Amando de Ossorio ★★★★ スペイン映画史的に、というわけではないけど、熱心なホラーファンの間でのみ、なぜか名高いこの『エル・ゾンビ』シリーズがどんなものだか、このDVDボックスのおかげで、ようやく自分の目で確かめられました。 乾英一郎著「スペイン映画史」(芳賀出版)という、ジャンル映画を観るためにはあまり役立つわけでもない本を開いてみると、オッソリオ監督については、ほとんど名前のみが紹介されているだけ。この時期の娯楽作品については、「本来は低予算の娯楽映画を専門とする監督ではないと思われる人たちがこうした作品を撮った」のだとまとめられています。 オッソリオの場合、ジャンルを研究し尽くした上でホラーを撮ろうとしたのではなく、それまで独自に培った技術を応用しながら、一からの手作りでこのジャンルに挑んだわけで、そのへんに由来する独自な作家性は、同じスペイン(出身)の、もともとキワモノ資質だったジェス・フランコやポール・ナッシーよりも、濃厚に備えているようです。 この「エル・ゾンビ」シリーズ、実際はマドリッド近郊で撮影されたものの、フランコ政権下のファシズム政府の厳しい検閲の目を逃れるために、舞台はポルトガルだと設定されています。 さて映画では、若い女が訪れた僧院跡には、13世紀末に虐殺されたテンプル騎士団の墓があって、夜になると永遠の生命を約束された秘教の力によって、騎士たちが甦るわけです。 人物の動きがかろうじて確認できるような、照明の乏しい画面のなかで、能楽を模したような動きのゾンビたちがじりじりと迫ってくる幽玄美が、このシリーズの生命なのだけれど、それを振り切って駆けだした犠牲者に対しては、騎馬軍団が迅速に追跡を開始して、すぐさま鋭利な剣を振り下ろすことになる緩急の対比が、たまらない魅力になってくる。 観ていて可笑しく、かつ感動してしまうのは、監督のこの一作に賭ける過剰な情熱と真摯な姿勢が、思いがけないところで画面にあふれ出して、律儀さゆえの違和感を招いてしまうところ。 そんな過剰な情熱が堰を切ったかのように、端正なゴシック・ホラーの規格からはみ出して、恐怖の根元が白昼の日常世界へと一気に進出するラストシーンは、『サンゲリア』のゾンビ大行進よりもキレがいい。
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