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イタリア旅行

監督: ロベルト・ロッセリーニ

1953


★★★★☆むっつり助平

発表当時、ネオ・リアリズモというレッテルで喧伝されたものが、実はそれほど奇をてらったものではなかったことは、例えば、冒頭からたくましく自動車を運転して登場する勝ち気な妻(かがやかしい女盛りのイングリット・バーグマンが演じている)に対して、マッチョな征服欲を満足させられない夫(ジョージ・サンダース)が浮気を試みる相手は、足が悪くて杖をついているというふうに、わかりやすい物語的象徴が用いられていることからもよくわかる。
夫婦愛の乾き(と再生)を描いて、ほとんど原型にまで肉をそぎ落とした表面的な物語は、少し脚色をすれば、何ダースものハリウッド映画が量産できそうだ。
しかし、物語作家としてのロッセリーニはおそろしく狡猾で、ナポリの美術館を訪れて、生々しい姿をとどめたまま発掘された古代彫刻を見たバーグマンが夫と交わす、「禁欲的なものはなかったのかい」「なかったわ」という、やや唐突な印象深い会話を鍵として読み解けば、延々と映し出される観光名所は、ネオ・リアリズモの一般概念を装っているにすぎず、実は夫婦生活のセクシャルな深層を象徴していることがわかるだろう。
活火山から勢いよく噴出する白い煙を、なぜかこれに限って、夫に見せたいと嬉々として写真に収めたり、古代の奴隷が緊縛された跡に両手をあてがって突然「男なんてみんな同じよ」と吐き捨てるように言うところなどは、なんともエロチックな告白を実生活の妻にさせているものだと、あっけにとられてしまう。
守護聖人のお祭りのような場所で、聖痕のついた布を目指した群衆の暴走に巻き込まれた夫婦が再び愛を確かめ合うという、なんだが意味ありげだが、付け足しめいてもいるラストシーンは、バーグマンとの離婚を目前にした、監督の自己憐憫なのか。


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