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嵐が丘 監督: ジャック・リヴェット 1986年
★★★ この「嵐が丘」には、たいした嵐も吹かず、静かな陽光がふりそそいでいる。 4タイトルが発売されたリヴェット作品の中から、この映画を選んだのは、ルイス・ブニュエルの「嵐が丘」が大好きで、「嵐が丘」と聞くと、あの映画の再来を期待してしまうからなのだけれど、いきなりヒースクリフの帰還から始まって、怒濤のようにクライマックスになだれ込むブニュエルの、まるでアクション映画といった作りとは、まるで正反対に、リヴェットは、原作の前半部分を、若い俳優たちの肉体をなぞるように、みずみずしく端正なイメージの積み重ねで描くいていく。 ヒースクリフ(この映画ではロック)は、狂気の愛の持ち主というよりも、うじうじしたヌーヴェル・ヴァーグの青年だし、キャサリン(この映画ではカトリーヌ)は、どう見ても、こざっぱりしたパリジェンヌだ。しかしカトリーヌ役のファビエンヌ・バベは、女優さえすばらしく描けていれば、映画はそれでいいではないか、と思わせてしまうほどの、清冽な魅力を放っている。 彼女の凛としたマスクと、静まり返った荒野を見ていると、バルテュスの絵を思い出してならなかったが、後で画集を開いてみると、バルテュスが「嵐が丘」のために描いた挿し絵は、この映画とはまるで異質の狂おしさに満ちていて、その挿し絵の一枚の構図を借りた、「ブランシャール家の子供たち」という静謐な絵の中に、面影の似た少女が描かれていた。
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