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アンブレイカブル
Unbreakable

監督: M. ナイト・シャマラン M. Night Shyamalan

2000年

製作: M.Night Shyamalan, Barry Mendel, Sam Mercer
脚本: M.Night Shyamalan
撮影: Eduardo Serra
音楽: James Newton Howard
美術: Larry Fulton
出演: Bruce Willis, Samuel L.Jackson, Robin Wright Penn, Spencer Treat Clark, Charlayne Woodard


★★★★一種の純粋映画

見終わった後で、地味で現実味がなくて面白くないと一蹴してしまう多数派と、じわじわとこの小世界に魅了されていく少数派とに、観客を激しく分けてしまう映画だと思うのだけれど、自分としては断然後者に属する。「シックス・センス」でこの監督に偏見を持って、本作をパスしてしまったのだが、こんな「良心作」だとわかっていれば、早く観ておくべきだった。
とても映画にならないような、ごく些細でくだらない発想を、非常に注意深く破綻が生じないように、最大限のスケールにまで組み立ててみせた、一種の純粋映画です。しかもたんなるガラス細工の工芸品なのではなく、映画のありよう自体に空想の毒というものが含まれていて、夢想家の喉に小骨のように、ずっと刺さり続けていく、みたいな。

列車の椅子の隙間からカメラがゆらゆらと左右して、うだつの上がらない中年男(ブルース・ウィルス)の生態をとらえながら、考えうる限り最小限の描写で、一気にカタストロフを表現してしまう冒頭がいい。
いつでも「ダイ・ハード」な主人公であるはずの彼が、なんとけっして傷つかない(アンブレイカブルな)宿命を持つ男だったという設定自体、まるでジョークのようなのだが、語り口はいたって大まじめで、重いため息を何度もついてしまう。

その後は奇妙な巻頭言も含めて、いったいどうやって収拾をつけるのか、ごくわずかな物音にも耳をそばだてながら、固唾を呑んで画面を展開を見守り続けることになるのだけれど、当然のこととしていつかは目にすることになると期待される「ヒーロー」のハデな活躍は何度も周到に回避され、すべての出来事は登場人物がそれそれ抱えている「生き方」への切実な執着のなかに、予想を超えて落ち着くことになる。
それにしてもなんとかたくなに、ありきたりな展開を無視して、やりたいことをやってのけたのだろう。

こういったイベント主義的なハリウッドの映画づくりを確信犯的に裏切る地味な描写を重ねることで、娯楽映画であって娯楽映画でない活路をみいだしえた成功作として、トッド・フィールドの「イン・ザ・ベッドルーム」と同じ方向性をこの映画に感じたのだった。
こうなればできるかぎり慌てて最近作の「ヴィレッジ」はもちろん、メジャー・デビュー作の「翼のない天使」(1998)や、脚本作品「スチュアート・リトル」 (1999)までも観てやらなければならないと思う。


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