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監督別>スタンリー・キューブリック>アイズ ワイド シャット

アイズ ワイド シャット

監督: スタンリー・キューブリック

1999年


★★★深遠なのか、勘違いなのか

遺作となったこの映画で、キューブリックは一世紀近く前に書かれたシュニッツラーの原作を、愚直なくらいそのままに、現代のニューヨークに移し替えている。各ショットは驚くほどの完成美なのだが、全体を通して観ると、すっかり気が抜けている。深遠なのか、勘違いなのか、判断しかねる、困った映画だ(まさか19世紀末も、20世紀末も区別が付かなくなるような遠い未来に評価されてほしいという、遠大な遺言なのか)。

主人公の医師(トム・クルーズ)に脅威を与える秘密サークルも、それに対する彼の反応も、まるで差し迫った現実味を持たない話で、しかしそれをこうも説得力に満ちた映像と俳優たちの生真面目な演技で見せられてしまうと、なにかたいへんなものを見落としているのではないかとも考えてしまうものの、そんな詮索を容易に寄せつけないほど、漸次的な語り口なのだ。

159分の長尺の間、退屈するどころか、美しさに目を見張り続けるのだが、夫婦和合のあのセリフで終わってみると、こんなことを聞くために長々と見続けてきたのか、という気がしてあきれてしまう。ニコール・キッドマンのモノローグを、手持ちカメラでとらえた長いショットにはひきこまれるが、主人公のだらだらした彷徨や、余計なサブストーリーなど、かなりかったるい。若い監督ならバッサリとカットして、1時間半ほどに詰めるだろう話。

まったくの余談だけれど、原作は、文春文庫では「夢奇譚」、岩波文庫では「夢小説」(表題は「夢小説・闇への逃走」)、角川文庫では映画のシナリオと併録して「アイズ ワイド シャット」という表題で出ている。それぞれのタイトルの付け方が、いかにも、それぞれの出版社らしい。


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