★★★☆
爽快吸血鬼映画
極上、というわけではないが、かなりおもしろい吸血鬼映画。
「規則5 魔鬼は一人で逃げることがない」と、いきなり冒頭からヴァンパイア・ハンターたちのルールがリーダー(ジェームズ・ウッズ)によって示されるのだが、10箇条以上はあると思われるこの規則が、最後まで3ッほどしか明らかにされないのが、いかにもカーペンターらしい。
太陽光線に当てると燃え尽きてしまう吸血鬼と、その親玉の魔鬼をやっつけるためにハンターたちは、「巣」に踏み込んで、火器で弱らせて、心臓に杭を打ち込んで、石弓で撃って、矢についたロープをジープのクランクで牽引して、野外に引きづり出して燃焼させる、というメカニックな手順を踏む。
一方のヴァンパイアたちは、昼間でも活動できるパワーを得るために、黒い十字架による儀式の完成を着々と進めている。
それぞれが目的を達成するための手続きの衝突というのが、じつは古典時代から引き継がれた吸血鬼映画の本質なのだと割り切った骨子があるのだから、ああなればこうなるというシミュレーションを楽しみながら、なんの後腐れもなくアクションとアイディアをおもしろがっていればいい。
神父から黒い十字架の秘密が明かされる前に、ジェームズ・ウッズはなぜだかそれを知っていたり、夕暮れになるとムクムク魔鬼が湧きだしてくる映像を撮りたいばっかりに、昼間は地面の中にもぐっているなんていうムチャな設定にしてしまったり、突っ込みどころも多いが、気にはならない。
しかしそもそも、吸血鬼が立て籠もってるのは、周囲に人気のない建物なんだから、最初から火をつけるなり、爆破するなり、あるいは屋根や壁を引っぺがして日光を入れるなりすればいいと思うんだけどね。
「ツイン・ピークス」のローラ・パーマー役のシェリル・リーが、吸血鬼になりかけの女役。彼女自身、オバサンになりかけである。
吸血鬼の親玉の親玉が、トーマス・イアン・グリフィス。立ち姿といい、メイクといい、ほとんど勃起した男性器そのものである。
吸血鬼が日光に当たると、マッチを擦ったみたいにシュワっと発火する映像はかなり爽快。
吸血鬼の存在自体、光に当てると感光してしまうフィルムや、明るい場所では見えなくなるスクリーンから成り立っている、映画というものの比喩みたいなもんだな、なんて思いながら楽しんだ。