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ジーグフェルド・フォーリーズ
Ziegfeld Follies

監督: ヴィンセント・ミネリ Vincente Minnelli

1946年

製作: Arthur Freed
エピソード監督: Lemuel Ayers, Roy Del Ruth, Robert Lewis, George Sidney, Norman Taurog (uncredited)
振付: Eugene Loring, Charles Walters
脚本: E.Y.Harburg, Guy Bolton
撮影: George Folsey, Charles Rosher, Ray June
音楽監督: Lennie Hayton
美術: Cedric Gibbons, Merrill Pye, Jack Martin Smith
衣装: Helen Rose
出演: William Powell, Fred Astaire, Cyd Charisse, Lucille Ball, Esther Williams, Keenan Wynn, James Melton, Marion Bell, Victor Moore, Edward Arnold, Lucille Bremer, Fanny Brice, Hume Cronyn, William Frawley, Lena Horne, Red Skelton, Judy Garland, Gene Kelly, Kathryn Grayson, Virginia O'Brien


★★★ごった煮のレビュー映画

米盤DVDで鑑賞。

『若草の頃』(1944)に続いてミネリが手がけたレビュー映画。
往年のMGM作品『巨星ジーグフェルド』 "The Great Ziegfeld"(1936)、『美人劇場』 "Ziegfeld Girl"(1941)に続く、「ジーグフェルドもの」の続編企画です。
会社の記念行事のような位置づけの企画でもあり、MGMはまだ実績の少ないミネリの起用を避け、いったんはジョージ・シドニーを監督に据えました。
しかしその直後にミネリが『若草の頃』を完成させたことや、MGM入社以前にブロードウェイの「ジーグフェルド・フォーリーズ・オブ・1936」で舞台演出と衣装を手がけて成功を収めていたこと、さらにはシドニーを含む他の監督たちの推挙もあって、監督を任されたのだそうです。

映画は4ヶ月の製作期間を経て、1944年の8月半ばに完成。
しかしMGMは本作の公開に慎重で、11月のスニークプレビュー(覆面試写会)の結果を見て追加撮影を指示し、翌年8月の試写会後も変更を検討しました。一般公開されたのは1946年の春で、ミネリが次に撮った作品、『ヨランダと泥棒』の公開後になります。総製作費は約三百四十万ドル。
いくつかのエピソードの演出を他の監督に分配し、ミネリが多忙なときにはシドニーがメガホンを取ることもあったそうで、最終的には全体の50%ほどがミネリの監督した部分になったとのこと (Stephen Harvey "Directed by Vincente Minnelli" による)。


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『巨星ジーグフェルド』のラストで死んだフローレンス・ジーグフェルド・ジュニアは、今や天国で悠々自適の生活を送っています。過去の栄光の舞台を回想しながら(ここはノーマン・タウログが演出したパペット・アニメで描かれる)、そうだ、今のスターたちで新しい「ジーグフェルド・フォーリーズ」を作ってみたらどうだろうと思い立ち、まずはフレッド・アステアに声をかけます。
天からのフローの声を聞いたアステアが歌いはじめると、新しいフォーリーズの幕が開いて……。

……といった導入部を経て、あとは往年のフォーリーズの舞台になぞらえた歌や踊りやスキット(寸劇)が、レビュー形式で羅列されます。
各エピソードの内訳は、以下の通り。

1) "Here's To The Girls" (歌とダンス)
作詞: アーサー・フリード
作曲: ロジャー・イーデンス
歌: フレッド・アステア
ダンス: シド・チャリシー, ルシル・ボール
●ジーグフェルドの天の声を受けたアステアの挨拶と歌、シド・チャリシーのバレエ、ルシル・ボールとパンサー・レディスたちのダンス。

2) "Bring On The Wonderful Men" (歌)
作詞: アーサー・フリード
作曲: ロジャー・イーデンス
歌: ルシル・ボール
●1)に挿入される、馬に乗ったルシル・ボールのコミカルな歌。

3) "A Water Ballet" (ダンス)
ダンス: エスター・ウイリアムス
●エスター・ウイリアムスの水中バレエ。

4) "Number Please" (スキット)
出演: キーナン・ウィン
監督: ロバート・ルイス
●電話をめぐるドタバタのコント。

5) "La Traviata" (歌)
作曲: ジュゼッペ・ヴェルディ
歌: ジェームズ・メルトン, マリオン・ベル
振付: ユージン・ローリング
●オペラ「椿姫」より "乾杯の歌"。

6) "Pay the Two Dollars" (スキット)
出演: ヴィクター・ムーア, エドワード・アーノルド
●わずか2ドルの罰金を友人から払ってもらえずに苦境に陥る男のファルス。

7) "This Heart Of Mine" (ダンス・ストーリー)
作詞: アーサー・フリード
作曲: ハリー・ウォーレン
歌・出演: フレッド・アステア, ルシル・ブレマー
●舞踏会に忍び込んだ泥棒(アステア)と、彼に狙われた美女(ブレマー)の物語。

8) "A Sweepstakes Ticket" (スキット)
出演: ファニー・ブライス, ヒューム・クローニン, ウィリアム・フローリー
脚本: デイヴィッド・フリーマン
監督: ロイ・デル・ルース
●宝くじを当てた主婦が引き起こす騒動。

9) "Love" (歌)
作詞: ラルフ・ブレーン
作曲: ヒュー・マーティン
歌: レナ・ホーン
監督: レミュエル・エアーズ
●オール黒人キャスト。酒場の歌姫のレナ。

10) "When Television Comes" (スキット)
出演: レッド・スケルトン
監督: ジョージ・シドニー
●テレビ時代の到来を皮肉りながら、泥酔していくスケルトンのブッ倒れ芸。

11) "Limehouse Blues" (ドラマチック・パントマイム)
作詞: ダグラス・ファーバー
作曲: フィリップ・ブラハム
出演: フレッド・アステア, ルシル・ブレマー
●チャイナタウンを舞台にした幻想劇。アステアが中国人を演じる。

12) "The Great Lady Has An Interview" (歌とダンス)
主演: ジュディ・ガーランド
作詞: ケイ・トムスン
作曲: ロジャー・イーデンス
振付: チャールズ・ウォルターズ
●スター、ジュディを取材する男たちのダンスと、ジュディの歌とダンス。

13) "The Babbitt And The Bromide" (歌とダンス)
主演: フレッド・アステア, ジーン・ケリー
作詞: アイラ・ガーシュイン
作曲: ジョージ・ガーシュイン
●有名なアステアとケリーの共演シーン。

14) "Beauty" (歌とダンス)
作詞: アーサー・フリード
作曲: ハリー・ウォーレン
歌: キャサリン・グレイソン
●幻想的なセットに立つグレイソンの歌唱。

15) "There's Beauty Everywhere" (and "Bubble Dance") (歌とダンス)
作詞: アーサー・フリード
作曲: ハリー・ウォーレン
歌: キャサリン・グレイソン
ダンス: シド・チャリシー
●続いて泡の中から現れるシドと美女たち、グレイソンの歌によるフィナーレ。

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絢爛豪華な色彩が加わった大作ですが、あの蕩尽の極みともいえる『巨星ジーグフェルド』に比べると、こぢんまりした印象を受けてしまうのは、しかたがありません。
天国のジーグフェルドは、『巨星ジーグフェルド』と同じくウィリアム・パウエルが演じているのですが、前作から10年の歳月を経て、死んでからも年を取っているのがちょっと奇妙です。
通して観ていると、スキット部分は総じて演出が平板であり、笑いにもついていけないし、おまけに言葉もよくわからないので、退屈してしまいます。他のミネリ作品のように、終始集中して観るられるタイプの作品ではありません。

ミュージカルファンの注目を集めるのは、やはりアステアとケリーが初めて共演した "The Babbitt And The Bromide" なのでしょう。その後彼らの共演は、『ザッツ・エンタテインメント PART2』(1976)でともに司会を務めるまで実現されなかったことは、有名な話です。
ミネリの演出や美的センスに注目する上では、次の4つのエピソードが際立っています。

7) "This Heart Of Mine"
アステアと、彼がダンスの才能を評価したルシル・ブレマーの共演。
しゃれたストーリーと、ミネリらしい「赤」をアクセントにしたセットと豪華な舞踏会の描写、回転・スライドする床を使った奇抜なアイディアのダンス、ダンサーたちを追いかける大胆なクレーン撮影など、ミネリの舞台演出の経験と映画演出にかける野心がうまくミックスされた作品です。

11) "Limehouse Blues"
チャイナタウンを舞台にした、オスカー・ワイルドや E.T.A.ホフマンの短編のような味わいのある幻想譚。怪奇な幻想と原色の色彩に彩られた異国趣味の物語は、ミネリが次に撮る『ヨランダと泥棒』を予告しているかのよう。
珍しくメランコリックな役柄のアステアが、みごとに中国人に見えてしまうことにも驚きます。
上掲書には、ミネリこそが日頃からのアステアの気質と自分自身のそれとを融合させて、アステアの瞑想的な一面を引き出した人物だと書かれています。

12) "The Great Lady Has An Interview"
本作の極めつけ。このナンバーを見るだけでも、この映画を観る価値があります。
男たちから囲まれて、次回作の「ア・モニュメンタル・バイオグラフィカル・トリビュート・トゥ・ア・モニュメンタル・バイオグラフィカル・ウーマン(記念碑的伝記的女性への記念碑的伝記的讃辞)」なる作品の取材を受けるジュディ・ガーランドが、大女優の風格を示します。でも、ちょうどティーンアイドルから大人の女優への脱却を図った時期の、ちょっと背伸びをした様子がほほえましくもなまめかしい。
インタビューを受けながら、ジュディはちょうど日本の伝統芸能でいうしゃべくり芸のようなかたちで語り出すのですが、男たちが拍手とタップでビートを刻みはじめると、そのしゃべくりが掛け合いのラップのようなノリで昂揚し、アップテンポのジャズ・ナンバーに突入する。
豊かな声、余裕たっぷりのダンスはもちろん、マキシ丈のドレスの裾捌きや、手にしたグリーンのハンカチの扱いまでが魅力にあふれた彼女の完璧なステージが、絶え間なく移動する躍動的なカメラワークで捉えられ、興奮を誘います。

15) "There's Beauty Everywhere"
キャサリン・グレイソンのハイトーンヴォイスのスキャットが流れるなか、スタジオ中にモコモコと満たされた極彩色の泡の中からバレリーナ姿のシド・チャリシーが飛び出す、夢のような映像。
やがてふたたび泡の間からスクリーンに広がるのは、サルバドール・ダリの絵画を模した異様な荒野です。同じくダリの絵から抜け出したような美女たちがポーズを作る活人画の世界を、カメラは滑空しながら美しい構図を次々に作りだし、ふたたび丘の上に立つグレイソンを捉えます。
ミネリが監督をしなければ絶対に描かれなかったであろう、強烈な美の世界です。

成立事情からして仕方ないことなのですが、退屈なものから美の極致だといいたいものまでが、雑然と詰め込まれた作品でした。

(03 September, 2006 ©taraga)


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