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地獄のバスターズ
Quel maledetto treno blindato

監督: エンツォ・G・カステラッリ Enzo G. Castellari

1977年

脚本: Sandro Continenza, Sergio Grieco, Franco Marotta, Romano Migliorini, Laura Toscano
撮影: Giovanni Bergamini
音楽: Francesco De Masi
出演: Bo Svenson, Peter Hooten, Fred Williamson, Michael Pergolani, Jackie Basehart, Michel Constantin, Debra Berger, Raimund Harmstorf


★★★まあ、ありきたりなんですが

アテネ・フランセ文化センターでの特集上映「恐怖の映画史 イタリア編」は、2004年9月にヴェネチア映画祭で開催された「Italian Kings of the B's *1」から6本をセレクトして上映する企画。
日本では「タランティーノが開催した」というふうに報道されたのだが、実際にはヴェネチア映画祭のディレクター、マルコ・ミュレールが主催し、タランティーノとジョー・ダンテがホスト役を務め、作品の選定に加わったかもしれない、といった催しだったらしい。
マルコ・ミュレールは、それ以前にもペサロ、ロッテルダム、ロカルノでディレクターを務めて、加藤泰特集や中川信夫特集を実現させたり、黒沢清の「降霊」をロカルノの大ホールで上映したりと、頼もしい活躍をしている人のようだ。2005年は「Asian Kings of the B's」特集が組まれるとのこと。

タランティーノが「ジャッキー・ブラウン」を撮った後でずっと企画していたという第二次世界大戦ものというのが、じつは本作のリメイクだったそうで、本作で主演しているボー・スヴェンソンを「キル・ビル」でカメオ出演させたりと、その傾倒ぶりが伺われる。
しかし実際に観てみると、なんのことはない戦争アクション映画なのだった。

1944年、フランス北西部アルデンヌが舞台。
さまざまな国籍からなる囚人兵を輸送中のアメリカ軍MPが、ナチス戦闘機の機銃掃射に遭う。
どさくさに紛れて抜け出した5人の囚人がMPを制圧し、銃とトラックを奪って逃走する。
途中で加わった脱走志願のドイツ兵と共に、ナチスの攻撃をかわしながら、彼らは中立国のスイスを目指すのだけれど、あるとき奇襲をかけて全滅させたドイツの小部隊が、ドイツ軍に偽装したアメリカ軍の特殊部隊だったと知って落胆する。
その罪滅ぼしのために彼らは、米軍特殊部隊が遂行するはずだった任務を肩代わりし、フランスのパルチザンとともに、軍用列車で輸送されるドイツのV2ロケットの核弾頭を奪う作戦に参加するのだった……。

字幕なしの上映だったので、米軍も独軍も仏市民兵もイタリア語を喋るという状況で、なぜアメリカ軍に囚われていたイタリア人がドイツ人を殺して、フランス人とともにアメリカ軍を加勢するのか、しばらくはわけがわからない。
「特攻大作戦」だと思って観ていたものが、途中から「大列車作戦」に化けちゃうような展開で、おもしろい設定はなんでもぶち込むスタイルなのだが、「特攻大作戦」のものに憑かれたような演出の冴えも、「大列車作戦」のような迫真の臨場感もなく(列車転覆場面は模型撮影)、ゲサクな印象がつきまとう。

かといって、つまらない映画なのかというと、まったくそんなことはなく、戦闘時にボー・スヴェンソンが見せる頼もしげな身のこなしは、根っからのアクションスターでなければけっして見せられないものだし、上着の内側から必要な道具をなんでも出してしまうスリの囚人兵だとか、廃屋の中二階に潜んだ敵を追い出すのに、わざわざ柱を引っぱり倒して床ごと転落させてしまう非現実的で派手な仕掛けだとか、いかにもマカロニっぽい小ネタが随所にちりばめられていて、とても楽しい。

どうもイタリア人というのは、揺るぎない構成を構築することよりも、たとえ筋立てが平板になっても、そういった感覚的な小ネタを自由に挿入できる開放感を好むようで、その意味で本作は、コアなファンにとって無限のヴァリエーションを夢想できる典型的作品かもしれず、(至極好意的に考えるならば)タランティーノがわざわざリメイク権を押さえてまでして本作に執着する理由は、そこにあるのかもしれない。

TV放映時の題名は「V-2ロケット強奪大作戦」だったそうだ。


*1 2004年のヴェネチア映画祭での「Italian Kings of the B's」のラインナップは以下の通り (たしか allcinema ONLINE の、ずっと前の HEADLINE からのコピペです)。

 「盲目ガンマン」(72) フェルディナンド・バルディ監督
 「危険な恋人」(67) ティント・ブラス監督
 「地獄のバスターズ」(67) エンツォ・G・カステラッリ監督
 「W la foca」(82) ナンド・チチェロ監督
 「豪勇ゴライアス」(60) ヴィットリオ・コッタファーヴィ監督
 「I cento cavalieri」(61) ヴィットリオ・コッタファーヴィ監督
 「群盗荒野を裂く」(67) ダミアーノ・ダミアーニ監督
 「食人族」(79) ルッジェロ・デオダート監督
 「I ragazzi del massacro」(69) フェルナンド・ディ・レオ監督
 「Milano calibro 9」(72) フェルナンド・ディ・レオ監督
 「皆殺しハンター」(72) フェルナンド・ディ・レオ監督
 「ザ・ボス/暗黒街の標的」(73) フェルナンド・ディ・レオ監督
 「ザ・シシリアン/復讐の挽歌」(76) フェルナンド・ディ・レオ監督
 「大城砦」(61) ジョルジオ・フェローニ監督
 「Estratto dagli archivi segreti della polizia di una capitale europea」(72) リカルド・フレーダ監督
 「マッキラー」(72) ルチオ・フルチ監督
 「ビヨンド」(81) ルチオ・フルチ監督
 「狂った蜜蜂」(69) ウンベルト・レンツィ監督
 「幽霊屋敷の蛇淫」(64) アントニオ・マルゲリティ監督
 「Lo strano vizio della signora Wardh」(70) セルジオ・マルチーノ監督
 「I fratelli dinamite」(49) ニーノ・パゴット&トニー・パゴット監督
 「Colpo di Stato」(69) ルチアーノ・サルチェ監督
 「復讐のガンマン」(66) セルジオ・ソリーマ監督
 「Il dio serpente」(70) ピエロ・ヴィヴァレッリ監督
 「Colpo rovente」(69) Piero Zuffi 監督

(2004/11/29 アテネ・フランセ文化センター)


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